理論化学
化学講座 第28回:電気分解【さまざまな電気分解】
今回は、前回の最後に引き続き、さまざまな電気分解反応を説明します。
- ① 水の電気分解(希硫酸、KOH 水溶液の電気分解)
- ② NaOH の製法、陽イオン交換膜法
- ③ NaCl の融解塩電解
- ④ Al2O3の融解塩電解(ホール・エルー法)
① KOH水溶液の電気分解
KOH水溶液を白金電極を用いて電気分解すると、結局、水が電気分解されます。
陽極 : | 極板はPtですから、陽極板の溶解は起こらず、OH-が酸化されてO2が生じます。 |
4OH- → O2↑ + 2H2O + 4e- | |
陰極 : | アルカリ金属のイオンのK+は反応しませんから、H2O が還元されてH2が生じます。 |
2H2O + 2e- → H2↑ + 2OH- |
陽極と陰極の反応をあわせると、2H2O → 2H2 + O2 となります。すなわち、この反応は水の電気分解なのです。
この反応で、少量のKOHやNaOHを加えるのは、水溶液中のイオン濃度を大きくして、電流を流しやすくするためです。
強塩基ではなく、強酸のH2SO4を白金電極を用いて電気分解しても、水が電気分解されます。
陽極 : | 極板はPtですから、陽極板の溶解は起こりません。また、SO42ーも反応しないため、 |
2H2O → O2↑ + 4H+ + 4e- |
|
陰極 : | 水溶液は酸性なので、H+が電子を受け取って、H2が生じます。 |
2 H+ + 2e- → H2↑ |
陽極と陰極の反応をあわせると、2H2O → 2H2 + O2 となりますね。やはり、この反応は水の電気分解なのです。
このように、KOH、NaOH、H2SO4の電気分解は、水の電気分解であることを覚えておきましょう。