面接試験に臨むにあたって/面接での所作
面接試験で最も大切なのは、普通であることです。どんなに目の肥えた面接官であっても1時間に満たない短時間で人間のすべてを見抜くことは不可能です。ですから、質問と回答内容がかみ合う、不必要におどおどしていない、身なりが清潔でしっかりしている、志望理由をはっきり答えることができる、といった普通のことができれば8割は大丈夫です。
また、一部の大学や推薦・AO入学試験を除けば、一般入学試験の面接で特殊な質問をされることはありません。練習は数回しておけば十分です。質問の内容よりも、むしろ、会話のキャッチボールがちゃんとできているかどうかに注意するほうが重要です。時々、緊張のあまり演説になってしまう人がいますが、これはいけません。あくまでも面接は会話の延長ということを忘れず、簡潔な受け答えを心がけましょう。
ただし、独特の質問をする大学やグループ討論を行う大学を受験する場合は、過去問などを使って練習しておくことが大切です。
一方で、推薦・AO入学試験ではかなり突っ込んだ質問をされます。たとえば、愛知医科大学では30分をかけて面接を行います。試験官によっては圧迫面接になることもあり、十分な準備をすると同時に、どのような対応をされても冷静に答える心構えを整えておく必要があります。
どの大学の面接試験を受験する場合でも、最低限の知識として、最近話題になったニュースや脳死と臓器移植の問題・労働問題・教育問題・女性の社会進出における問題などの定番の問題については考え方を知っておくべきですし、いくつかの医療単語は覚えておいたほうがよいでしょう。これらについては、順次このサイトで解説していく予定です。
最後に、面接官が質問した内容がわからない場合は、素直にわかりませんと答えるようにしましょう。また、うまく聞き取れなかった場合も、素直に聞き直すべきです。面接官によっては、わざと高校生の知らない内容を聞いたり、聞き取れないような小声で質問をする人がいます。これは、そうしたときにどのように対処するのかを観察しているのです。適当に答えたりすれば、当然減点されます。
面接の所作
コミュニケーションはその大部分を視覚で行うのだそうです。また、服装の乱れは心の乱れとも言います。しっかりした身なりと身のこなしを身に付ければ、面接官の印象は間違いなく良いでしょう。
1. 服装
現役生は制服、卒生はワイシャツとネクタイを着用してください。一般的には、スーツあるいはブレザーが適当です。髪は必ず黒く染め、耳が出る程度に切っておくようにしてください。
ビアス、イヤリング、ネックレス、指輪等は必ず外しておいてください。
2. 試験会場に入る時
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会場に入る前に、ドアを軽く2回ノックします。
部屋の中から「どうぞ」という声がしたらドアを開けます。
応答がなければ、もう一度ドアを2回ノックし、それでも応答がなければ「失礼いたします」と言ってドアを開けます。 -
ドアを開け、面接官の顔を見て(*「失礼します」と大きな声で挨拶します。面接官が複数いるときは、中央の人を見てください。
発音が間延びしないように、はきはきと挨拶しましょう。(*:相手の顔を見るとき、目を見ると緊張してしまいがちです。相手の鼻の頭を見るようにすると、緊張せずに顔を見れます。
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ドアを開けて中に入ります。
このとき、体が正面を向くように(*、右開きのドアならば右手で、左開きのドアならば左手で開けます。
この場合は、ドアが右開きなので、右手で開けています。(*:面接時、面接官の方に完全に背中を向けた姿勢をとらないようにしましょう。
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ドアを閉めます。
このとき、面接官に対して完全に背中が向かないように、斜めの位置に立ってドアを閉めます。
ドアを閉める際、音がならないように気をつけます。 -
部屋の中におかれている椅子まで進む前に、ドアの前で礼をします(*
正しい礼の仕方
お辞儀には、2種類あります。45°の角度に曲げる敬礼と15°の角度に曲げる会釈です。
- 両足をぴったりそろえて真っ直ぐ立ちます(*
- 背筋を伸ばしたまま、腰だけを曲げます。
- 約45°まで曲げて、1秒間静止します。
- ゆっくり腰を伸ばします。(曲げるときより、伸ばすときをゆっくりすると、きれいなお辞儀ができます。)
(*真っ直ぐ立つには、頭のてっぺんで天井を押し上げるつもりで立つと良いでしょう。背骨の上から3・4番目と下から3番目くらいのあたりがちょっとだけ前に出た感じがすれば完璧です。
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いすの横まで歩きます。
(試験官と目を合わせている必要はありません)
背筋を伸ばし、足を引きずらないようにしっかりと歩きます。 -
いすの横に立ち、手は体の横でまっすぐに伸ばします。女性は、体の前で手を組みます。
「お名前をどうぞ」と言われたら次のように挨拶しますが、何も言われない場合もあります。椅子の横に立ったにもかかわらず、何も言われなければ自分から名乗りましょう。現役生は「●●県の○○高校から参りました、△△(氏名)と申します。本日はよろしくお願いいたします。」
卒生は「●●県から参りました、△△(氏名)と申します。○○高校出身です。本日はよろしくお願いいたします。」
と挨拶をして、お辞儀(45°)をします。
「どうぞおかけください」と言われたら、「失礼します」と言って、お辞儀(15°)をしてから椅子に腰掛けます。
このとき、挨拶とお辞儀、お辞儀と腰掛ける動作が同じになってはいけません。必ず、挨拶が終わってからお辞儀、「失礼します」と言ってからお辞儀、お辞儀が終わってから着席。という順番で動作を行ってください。大学によっては、受験番号を聞かれることがあります。忘れないようにしっかり覚えておきましょう。
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いすには、ふかく腰掛けてはいけません。半分くらい腰掛けます。
膝を握りこぶし2つ程度開き、手は膝の上に軽く握って置きます。
女性は、足を閉じて腰掛け、手は足の中央に、重ねて置きます。
3. 面接試験中
面接試験中は、様々な質問がなされます。
中には、少し意地が悪い質問がなされることもあります。
しかし、その質問の全てが、あなたが医師として適切であるかどうかを見るためのものであって、決して意地悪で言っているわけではありません。
もう少し踏み込んで言うと、「この人と私(試験官)は一緒に仕事できるかな?」「おかしな人や嘘つきじゃないかな?」という事を見ているのです。
ですから、「試験をされる」「落とされたらどうしよう」という気持ちではなく、「私はあなたと一緒に仕事したいのです。よろしくお願いします!」という気持ちで受け答えをすると良いでしょう。
質問の中には、高校生・卒生にははっきりと答えられないような内容もあります。
例えば、「○○(最新の医学用語)についてどう思いますか?」と言うような質問です。
これは、大抵、面接される生徒に動揺を与えて、その反応を見るための試験です。このような場合は、「不勉強ですので、○○については分かりません。申しわけありません」と答えれば大丈夫です。
逆に、知った振りをして(本当に知っていれば別ですが)答えると、その後、その答えについて追及されますので、注意してください。
医学部が欲しがる人物は
- 他者の目線に立つ事ができる
- 協調性がある
- 精神的に安定しており、医学部のカリキュラムを最後まで完遂し、医師国家試験に合格できる。
というものです。
この点を踏まえて、受け応えをしましょう。
※受け応えのとき、緊張の余り、どもってしまったり、声が上ずることがあります。試験の最初に、「申し訳ありませんが、緊張していますので、声が上ずってしまうかも知れません」などと断っておくのも1つの手です。
また、面接試験中は、相手の顔を見て受け答えをしましょう。目線をきょろきょろさせたり、うつむいたりするのはよくありません。
4. 退室する時
退室するときも重要です。最後までしっかり行いましょう。
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「これで面接は終了です。お疲れ様でした。」など、終了の合図が試験官からなされたら、いすに腰掛けたまま、「本日はありがとうございました」とお礼の言葉を述べます。
その後、腰掛けたまま一礼し、ゆっくりと立ち上がります。 -
いすの横に立って、「失礼いたします」と言い、その後、お辞儀(45°)をします。
姿勢を正してドアの前まで歩いていきます。
(試験官と目を合わせておく必要はありません。) -
ドアの前に立ち、試験官に向かって、再度「失礼いたします。」と言い、お辞儀(45°)をします。
お辞儀がすんだら、ドアを開けて部屋から退出します。
ドアを閉める際は、部屋のほうを向いて、試験官の顔を見ながら閉めるとよいでしょう。
また、ドアを閉めるときは、音が鳴らないように気をつけます。