推薦入学試験
試験の流れ
推薦入学試験は、年齢の制限と評定平均値の条件をクリアした人だけが受験できる試験です。原則として専願(近畿大学のみ併願可能)で、合格した場合、必ず入学しなくてはいけません。
試験は筆記・小論文・面接によって行われ、小論文・面接は一般入学試験より重視されます。
出願時期と受験日程 (2015年度入学試験)
推薦入学試験は11月中旬~12月上旬に実施されます。
各大学の出願時期と受験日程を以下に示します。
学校名 | 出願資格 | 一次 | 二次 |
---|---|---|---|
岩手医科 (推薦) |
平成26年10月20日~10月30日 (消印有効) |
平成26年11月8日 | |
岩手医科 (地域枠特別推薦) |
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獨協医科 (公募推薦(地域枠)) |
平成26年11月1日~11月6日 (締切必着) |
平成26年11月8日 | 平成26年11月15日 |
獨協医科 (指定校) |
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埼玉医科 (公募・指定校) |
平成26年11月1日~11月11日 (郵送必着) |
平成26年11月16日 | |
東京医科 (一般公募推薦) |
平成26年11月10日~11月21日 (郵送必着) |
平成26年12月6日 | |
東京医科 (茨城県地域枠推薦) |
|||
東京医科 (山梨県地域枠特別推薦) |
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東京女子医科 (推薦) |
平成26年11月4日~11月11日 (郵送必着) |
平成26年11月19日・20日 | |
東京女子医科 (指定校) |
非公表 | 非公表 | 非公表 |
日本 (付属推薦) |
未発表 | 未発表 | 未発表 |
北里 (指定校) |
平成26年11月1日~10日 | 平成26年11月16日 | |
聖マリアンナ医科 (推薦) |
平成26年10月30日~11月7日 (必着・窓口可) |
平成26年11月22日 | |
金沢医科 (公募) |
平成26年11月1日~8日 (消印有効) |
平成26年11月15日 | |
金沢医科 (指定校・地域指定推薦 石川県の全日制高校で、普通科または理数科を有する学校) |
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金沢医科 (AO入学試験) |
平成26年9月1日~8日 (消印有効) |
書類選考 | 平成26年10月19日 |
愛知医科 (公募) |
平成26年10月31日~11月7日 (消印有効) |
平成26年11月15日 | |
藤田保健衛生 (推薦) |
高等学校長より推薦されるもの:平成26年10月29日~11月5日 (必着) 大学課程履修者で自己推薦するもの:平成26年10月17日~24日 (必着) |
平成26年11月9日 | |
関西医科 (推薦) |
平成26年11月1日~14日 | 書類選考 | 平成26年11月20日 |
近畿 (公募) |
平成26年11月1日~13日 (消印有効) |
平成26年11月22日 | 平成26年12月7日 |
兵庫医科 (公募) |
平成26年10月22日~11月4日 (消印有効) |
平成26年11月9日 | |
兵庫医科 (地域枠) |
平成26年10月22日~11月4日 (消印有効) |
平成26年11月9日 | |
川崎医科 (特別推薦) |
平成26年11月1日~10日 (郵送必着) |
平成26年11月15日 | 平成26年11月29日 |
久留米 (一般推薦) |
平成26年10月27日~11月5日 (必着) |
平成26年11月15日 | |
久留米 (地域枠) |
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福岡 (一般推薦) |
平成26年10月31日~11月8日 (必着) |
平成26年11月23日 | |
福岡 (地域枠) |
|||
産業医科 | 平成26年11月1日~7日 (郵送消印有効) |
平成26年12月3日 |
試験の発表は12月上旬~中旬ですが、発表から一般入学試験まで一ヶ月しかありません。万が一推薦入学試験で不合格になった場合、一般入学試験の対策に掛けられる時間はあまりないのです。このことを念頭に置き、推薦入学試験を受験する場合には、対策を始める前に理科の学習を終えておく、推薦入学試験の対策中も一般入学試験の対策を平行して進めるなど、計画的な学習が必要です。
推薦入学試験の出願資格は、評定平均値3.7以上(藤田保健衛生大学と近畿大学は評定平均値の制限なし)で現役のみまたは1浪まで(川崎医科大学は4浪まで、ただし、居住地域に制限があり、推薦人が必要)です。方式には公募と指定校、出身地域に制限のある地域枠の三種類があります。
評定平均値のほかに、高校で取得した単位に制限のある大学も多く(数学Ⅲ・Cまで必要など)、それらの大学は文系コースの受験生は受験することができません。
受験資格および募集人数・倍率については以下に一覧を示します。
学校名 | 出願資格 | 募集 人数 |
受験者数/合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
岩手医科 (公募) |
評定平均値4.0以上(現役・1浪) | 20名 | 87/20 | 4.3倍 |
岩手医科 (地域枠) |
評定平均値4.3以上(現役・1浪) 岩手県内高等学校を卒業又は卒業見込みの者、または、本人もしくは保護者が、平成23年10月30日(3年前)から引き続き当該地域に在住している者 |
15名 | 47/15 | 3.1倍 |
獨協医科 (地域枠) |
評定平均値4.0以上(現役・1浪) 北関東3県(栃木・群馬・茨城)、埼玉県及び福島県の各県内高等学校を卒業又は卒業見込みの者、または、本人もしくは保護者が、平成24年4月1日から引き続き当該地域に在住している者 |
10名 | 51/7 | 7.2倍 |
獨協医科 (指定校) |
非公表 | 20名 | 60/23 | 2.6倍 |
埼玉医科 (公募) |
評定平均値全体4.0以上、理科・数学・外国語がそれぞれ4.0以上(現役・1浪) | 10名 | ||
埼玉医科 (指定校) |
評定平均値全体3.8以上、理科・数学・外国語がそれぞれ3.8以上(現役)、大学が指定する高校 | |||
東京医科 (公募) |
評定平均値4.0以上(現役) | 20名 | 非公開 | 非公開 |
東京医科 (茨城県地域枠) |
評定平均値4.0以上(現役・1浪) 茨城県内の高等学校を卒業あるいは卒業見込みの者、または、保護者が茨城県内に居住(本学出願期間の最終日において茨城県内に1年以上居住している者とする。)しており茨城県外の高等学校を卒業あるいは卒業見込みの者 |
8名 | ||
東京医科 (山梨県地域枠) |
評定平均値4.0以上(現役・1浪) 山梨県内の高等学校(中等教育学校、特別支援学校の後期課程を含む。以下同じ。)を卒業あるいは卒業見込みの者または保護者が山梨県内に居住している者で山梨県外の高等学校を卒業あるいは卒業見込みの者 |
8名 | ||
東京女子医科 (公募) |
評定平均値4.1以上(現役・女子・1浪) | 20名 | 非公開 | |
東京女子医科 (指定校) |
非公表 | 15名 | ||
日本 (付属推薦) |
非公表 | 15名 | NO DATA | |
北里医学部 (指定校) |
非公表 | 30名 | 50/38 | 1.3倍 |
聖マリアンナ医科 (推薦) |
評定平均値全体4.0以上、理科・数学・外国語がそれぞれ4.0以上(現役) | 23名 | 非公開 | |
金沢医科 (公募) |
評定平均値3.8以上(現役・1浪で18歳以下) | 20名 | 107/21 | 5.1倍 |
金沢医科 (指定校・地域指定) |
評定平均値4.0以上(現役・1浪) 指定校は石川県の全日制高等学校で普通科または理数科を有する学校(高等専門学校を含む)次の条件を満たし、かつ、高等学校長から推薦された者 本学が指定する高等学校を平成27年3月に卒業見込みの者及び平成26年3月卒業の者 または富山県氷見市に在住し、平成27年3月に高等学校卒業見込みの方及び平成26年3月卒業の者 |
5名 | NO DATA | |
金沢医科 (AO入試) |
評定平均値4.0以上(現役・1浪) | 10名 | 非公開 | 非公開 |
愛知医科 (公募) |
評定平均値3.7以上、理科・数学・外国語がそれぞれ3.7以上(現役) | 25名 | 91/25 | 3.6倍 |
藤田保健衛生 (推薦) |
(現役・1浪または4年制以上の大学を卒業または卒業見込みの者で平成27年4月1日現在、満35歳以下の者) | 20名 | 304/20 | 15.2倍 |
関西医科 (推薦) |
全体及び6教科の評定平均値4.0以上(現役) | 10名 | 非公開 | |
近畿 (公募) |
(現役・1浪) | 700/45 | 15.6倍 | |
兵庫医科 (公募) |
評定平均値4.0以上(現役)4.2以上(1浪) | 15名 | 99/15 | 6.6倍 |
兵庫医科 (地域枠) |
評定平均値4.0以上(現役)4.2以上(1浪) 出願時点で、兵庫県内に保護者(父母。ただし、父母がいない場合は祖父母等)が1年以上在住していることが、住民票により確認できる者 または兵庫県内の高等学校等に在籍中又は卒業した者で将来、当該地域における地域医療に貢献しようとする強い意志を持つ者 |
5名以内 | 48/5 | 9.6倍 |
川崎医科 (中国四国枠) |
(現役・4浪まで) 中国・四国地域の住民であるか、中国・四国地域の高等学校出身の者 (「中国・四国地域の住民」とは、本人または一親等の尊属が出願期間の最終日の4年前から引き続き中国・四国地域に住民登録をしている者) |
15名 | 113/21 | 5.4倍 |
川崎医科 (岡山県枠) |
(現役・4浪まで) 岡山県の住民であるか、あるいは岡山県内の高等学校出身の者 (「岡山県の住民」とは、本人又は一親等の尊属が出願期間の最終日の4年前から引き続き岡山県内に住民登録をしている者) |
5名 | ||
久留米 (一般) |
評定平均値3.8以上(現役・1浪) | 5名 | NO DATA | |
久留米 (地域枠) |
評定平均値3.8以上(現役・1浪) | 15名 | 62/12 | 5.2倍 |
福岡 (一般推薦) |
評定平均値全体3.7以上(現役・1浪) | 20名 | 66/10 | 6.6倍 |
福岡 (地域枠) |
評定平均値全体3.7以上(現役・3浪・大学卒業生は平成22年高校卒業生まで) 九州・沖縄・山口県内に所在する高等学校あるいは中等教育学校の出身者 または出願時において、本人または保護者が九州・沖縄・山口県内に居住する者 |
10名 | 67/11 | 6.0倍 |
産業医科 | 評定平均値全体4.3以上(現役・1浪) | 20名 | 213/18 | 11.8倍 |
倍率は1.4~13.6倍と幅がありますが、評定平均値の制限が厳しい大学や、指定校、地域枠など条件が厳しい大学ほど倍率は当然低くなります。
推薦入学試験は年齢制限があること、受験者数が少なく、倍率が低いことなどから現役生や一浪生にとって医学部進学の大きなチャンスといえます。近畿大学以外は専願なので、合格した場合は入学が義務付けられていますが、私立医科大学をならば倍率の高い一般入学試験やセンター利用入学試験ではなく、最初から推薦入学試験を目指す方が楽です。
筆記試験の問題の傾向
筆記試験は愛知医科大学・藤田保健衛生大学・近畿大学・兵庫医科大学・岩手医科大学などのように一般入学試験と同じ、数学・理科などの学科試験によって行う大学と、東京女子医科大学のように、読解力や論理力を問う適性検査により実施する大学があります。
愛知医科大学・藤田保健衛生大学など、一般入学試験と同じ学科試験によって行う大学では、一般入学試験より難易度が低くなりますが、問題の傾向は一般入学試験とほぼ同じになります。
従って、これらの大学では一般入学試験の過去問演習が対策として有効ですが、一般入学試験と範囲が異なる場合があるので注意が必要です。藤田保健衛生大学では、数学の範囲が極端に狭いため、難易度を確保するためにパズル的な問題が出題されることがあり、この大学の数学では一般入学試験の過去問演習はあまり意味がありません。
推薦入学試験では、理系の学生が受験すること、一般入学試験より難易度が低いことなどから、理系科目では一般入学試験以上に高得点争いになります。(年度・学校によっては満点を取る学生が続出することもあります。)そのため、合否を分けるのは英語力で、一般入学試験よりも英語力が問われます。
事実、推薦入学試験で合格した学生の多くが英語を得意科目としており、数学にある程度不安を抱えている人も合格しています。逆に、英語が不得意で数学が得意という学生は苦戦しており、数学が満点でも落とされることがあります。
東京女子医科大学のように、読解力や論理力を問う適性検査を実施する大学を受験する場合は、過去問を入手できるかどうかがポイントになります。このような大学を受験する場合は、通常の受験勉強の内容だけでは、よほど地頭が良くない限り対応することができません。東京にはこのような推薦入学試験専門の塾もあるほどです。
面接・小論文の対策について
推薦入学試験では、面接はどの大学でも重視されますが、藤田保健衛生大学や近畿大学のように時間も短く、おそらく第一印象のみで合否を決定している大学と、愛知医科大学や東京女子医科大学、聖マリアンナ医科大学、兵庫医科大学のように長い時間を掛けて複雑な質問をする、あるいはグループ討論を要求するなど、難易度の高い面接を行う大学があります。
愛知医科大学は面接試験が20~30分あり、絵に題名を付けさせる問題や推理問題を出す、受験者にストレスを与えて反応を見る圧迫面接を行うなど、相当厳しい試験です。また、東京女子医科大学や兵庫医科大学ではグループ討論の後に個人面接が行われます。これらの大学の面接試験は受験生にとって手ごわい試験です。
面接対策では、各大学の過去問を入手して、大学ごとの典型的な質問(愛知医科大学の、自分を○○にたとえると何か。藤田保健衛生大学の座右の銘。産業医科大学の産業医とは何か。東京女子医科大学の、東京女子医科大学のカリキュラムの特徴を述べよ。複数の大学で行われる1分間プレゼンテーション)に対する答えを練習するとともに、面接試験とは基本的に会話のキャッチボールですから、相手の話をよく聞いてはっきりと受け答えをする練習をすること。医師志望理由や大学志望理由など、基本的な考え方を固めておくことが大切です。
推薦入学試験の小論文は、一般入学試験と比べて特に難易度が高いわけではありません。大学によっては課題文としてニーチェの文章を出題したり、小学生をハイキングに連れて行く計画書を作らせるなど、独創的な問題が出題されることがありますが、このような問題の対策をするのはかなり難しいと言えます。なぜなら、このような大学は、毎年のように出題傾向が変わるためです。
どの大学の対策をするにせよ、過去問を入手して練習をすると同時に、小論文で要求されている自分の考え方を相手に伝える能力と、文章読解力、ある程度常識にのっとって考えることのできる価値観を磨くことが大切です。
併願可能な近畿大学の推薦入学試験
推薦入学試験は専願ですから、合格した場合は必ず入学しなくてはなりません。また、2校以上の併願も不可能です。しかし、近畿大学は合格した場合も入学する義務はありませんので、他大学の推薦入学試験と併願することが可能です。
近畿大学の推薦入学試験は評定平均値の制限もありませんから、例年高倍率になりますが、数学がほどほどに難しく英語もバランスの良い出題ですから、模試代わりに受験したとしても価値の高い試験です。