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医学部入試対策 化学の勉強法

まず、化学を学ぶにあたって大切な5つの事を書いておきます。これはとても大切なので、きちんと覚えておきましょう。

① 化学は各論的なので、単位換算と化学反応式を使った計算問題ができるようになったら、
  どの単元から手を付けてもよい。だから、短期間で結果を出しやすい科目です。

② 細かいことにこだわらず、教科書レベルを最初にきちんと覚えましょう。
③ 中堅私立大学は時間が短いので計算力を身に付けましょう。
  代表的な問題は解法を覚えるくらいやり込みましょう。
④ 国立大学より中堅私立大学医学部の方が難しいことがあります。
  独特のひねりに慣れるため、早めに過去問をやりましょう。
⑤ 国立大学の難問は、化学を「理解しているか」を問うもの。
  だから問題を単にやるだけではなく、常に「なぜ?」と問う事を心がけましょう。

1)化学は各論的なので、短期間で結果を出すことができる。

大学受験の化学は各論的で、いくつかの基本事項を身につけたら、どの分野からでも手を付けることができます。これは成績不振の人にとっては大きな利点で、短い時間で大きな成果を出すことができます。

他の分野を無視して、ある分野の入試問題レベルまで身に付けることができるわけですから、たとえ目の前に難易度の高いテストが迫っていたとしても。短い時間でそのテストで出題される、いくつかの分野で高得点を上げることも可能なのです。勿論、テストが東大模試のような難易度の高い試験ではそううまくいきませんが。

化学の知識体系がどのようになっているのかをフローチャートとして示します。

受験の標準問題まではほとんど縦割りで勉強することができるのが分かりますね。
また、1つ1つの分野に入っている内容はそれほど多くないので(無機・有機の暗記事項はそれなりの量がありますが)、教科書や参考書できちんと理解した後で取り組めば、それほど時間を掛けずに入試の標準問題まで解くことができるようになるのです。

ただし、最初に絶対にマスターしなくてはいけない事項があります。それが、モル、濃度、密度、体積などの単位換算と、化学反応式を使った計算問題です。化学反応式を用いた計算には、① 過不足なく反応し、比を使って考えるもの。と、② 過不足があるか、反応の途中で止まる(平衡などに達する)ため、比が使えず、反応前後の物質の表を描いて考えるものの2種類があります。

実は、この事項をマスターすれば、酸塩基の反応、酸化還元の反応まではほとんど終わったのも同然です。各分野の内容について細かく触れるのは趣旨に反しますので、ここでは触れませんが、単位換算と化学反応式の利用は非常に大切なもので、これを学ばずに先に進むことは出来ない。逆にこれをマスターすればその後がすごく楽になるということを覚えておいてください。

2)最初は細かい知識にこだわりすぎない。まず教科書事項を覚える事が大切。

無機・有機の分野はほとんどが暗記ですが、理論の分野にも結果や途中のプロセスを覚えなくてはいけない実験がいくつかあります。

そのため、いきなり分厚い本を買ってきてやり始めると、暗記事項の多さが嫌になり、やめてしまう原因になってしまいます。人間は全体像をつかむ前に細かいことを学ぼうとするとうまく暗記できない、あるいはうまく理解できないという性質を持っていますから、学習の最初は、その分野について、ざっくりと理解する。あるいは、大体こういうものがある。と言うのを暗記するにとどめた方が効率的です。

全くゼロから学ぶ場合は、教科書や岡野の化学が初歩からしっかり身につく、のような基本的な本を一通り読んでから、らくらくマスターや、化学必修整理ノートのようなほどほどの難易度の問題集を解いて、それから各論を深めた方が良いでしょう。

各論を深めるときも、分野ごとに化学のセミナー→重要問題集というルーチンを作って学習するなど、必ず易→難、全体→部分と進めていくことを心がけましょう。

また、どういう科目でもそうですが、覚えにくいことや理解しにくいことはあるものです。そういうものに当たったら、一通り考えたり暗記する努力をした後は、余り悩まずに飛ばす勇気も必要です。ただし、そこがネックになっているという事は覚えておくことです。そうすると不思議なもので、しばらくしてそこに戻ってくると、急にわかるようになっていたりするものです。

3)計算力は大切。効率のいい計算方法を知っているのはもっと大切。

化学ではかなり面倒な計算が出てきます。数学よりも、物理よりもずっと面倒です。例えば、気体定数は0.0083 という値ですが。この値を分母に持ってきて有効数字3ケタで計算する・・。などと言う問題がたくさん出てきます。勿論、割り切れず、四捨五入をして答えを出さなくてはいけません。

だからこそ、化学では効率の良い計算方法を知っていることが大切です。二気体の混合後、反応をさせて温度を変化させる・・。というような問題の場合、① 二気体を混合する ② 反応させる ③ 温度を変化させる という3段階に分けて計算をすればそれほど難しくありませんが、①~③を一度に考えようとすると、計算式が非常に長くなってしまい、計算間違いが起こってしまいます。

このように、計算力と、効率の良い計算方法の両方を身に付けておくことが大切です。
特に、中堅私立大学医学部の入試問題では、非常に短い時間の間に多数の問題を解かなくてはいけません。金沢医科大学・東邦大学・埼玉医科大学等のように1問につき2分ほどしか与えられない試験もあります。

4)中堅私立大学医学部は時間が短い、代表的なパターンは覚えるまでやろう。

中堅私立大学医学部では、非常に時間が短い大学と、それなりに時間を掛けることができる大学があります。前者の例としては、金沢医科大学・東邦大学・埼玉医科大学を上げることができますし、後者の例としては、愛知医科大学・杏林大学医学部などがあります。ただ、それなりに・・とはいっても国立ほど長くはなく、計算速度が遅いとそれだけで不合格の原因になってしまいます。

一方で、出題される問題に見たこともないような問題が出にくい特徴で、セミナー化学と重要問題集などを繰り返し解いたことのある人なら、試験会場であれ?この問題はどこかで見たことあるぞ?という感覚をかなりの回数感じるはずです。

そうしたことから、中堅私立大学医学部では、代表的な問題や考え方が染み付くまで問題演習をすることが大切です。また、知識問題は広く出されるので、教科書と、図説にあるようなものについては一通りおぼえておきましょう。

5)国立大学より私立大学の方が難しい問題が出ることがある?

化学は、国公立大学の二次試験より、私立大学医学部の方が難しい問題が出題される事がある科目です。中堅レベルの中では兵庫医科大学と愛知医科大学などにこの傾向があります。愛知医科大学の問題を名古屋大学の医学部生に解かせても、ちょっと難しいですね。というほどです。

愛知医科大学や兵庫医科大学では、難易度よりも目新しい内容を出すことがありますし、そのほかの大学でも、大学1年生で履修するミカエリスメンテンの式が出題されるなど、かなり難易度の高い問題が散見されます。

ただ、そうした一部を除いては標準的なものが多いので、難しい問題はあまり気にせず、標準的な問題を取りこぼしなく解いていくのが中堅私立大学医学部の攻略法です。

また、近年慶応大学医学部のような上位校も化学は入試問題が易化し、標準的内容が大半を占めるようになるなど、上下のレベルが近づいてきています。

標準的内容をたくさん出されると、知識量の勝負になります。上位校を受けるからと言って無理に難しい問題ばかり解いていると、知識に穴が開いてしまって本番でかえって痛い目に合う事もあるので注意しましょう。また、私大は医学部独特のひねりが存在します。過去問演習は早い時期からすることが大切です。

6)国公立大学医学部を受験するときの注意

国公立大学医学部の入試問題は、他の理工系学部と同じ問題が出題されます。ですので、医療系特有のひねった問題は出題されません。ですので、地方国立大学であれば重要問題集のA問題や、駿台の理系標準問題集レベルをゴール地点に、東京大学を含む難関大学でも重要問題集のB問題、余力があれば化学の新演習をゴール地点として、しっかりと問題演習をすることで合格を勝ち取れます。

ただ、難関大学になればなるほど小手先のテクニックで臨むと問題が解けませんから、常に、なぜそうなるのか?何が起こっているのか?をしっかり考えることが大切です。

時々、東京大学理科Ⅲ類に重要問題集で入れるか?という論争が某掲示板などで展開されていますが、重要問題集で十分。と言う人は、問題演習をする以上に、化学そのものを理解しようと努めている人です。図説にある物質をきちんと覚えていたり、1つ1つの問題や理論についての理解を深めていけば、私は重要問題集で十分で、東京大学にも合格できると思います。

 

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