理論化学
化学講座 第20回:酸化還元②「酸化数」
酸化とは電子を奪われる事ですから、原子から奪われた電子の数を用いてその原子がどれほど酸化されたのかを表すことができますね。
そこで、この奪われた電子の数を酸化数と呼び、電子を1つ奪われると+1、電子を1つ受け取るとー1と定めます。単体の酸化数は0です。
イオンの酸化数
例としてイオン性物質のNaClが単体のNaとCl2から生じる反応を考えてみましょう。
単体のNaとCl2の間で電子の交換が起こり、Na+とCl-が生じます。このときNaは電子を1つ与えるので、酸化数は+1 、Clは電子を1つ受け取るので酸化数―1となります。
そうすると、イオンの酸化数=イオンの価数であるということが分かりますね。これは、NaClを構成するイオンだけではなく、どのイオンでも同じです。酸化数の定義を考えれば当然ですね。
価数が1でないイオンについても同様です。例えばCaCl2ならば、Ca2+とCl-の化合物ですから、Caの酸化数は+2、Clの酸化数は-1ですね。
イオン | イオンの価数 | 酸化数 |
---|---|---|
M2- | 2価の陰イオン | -2 |
M- | 1価の陰イオン | -1 |
M | 原子 | 0 |
M+ | 1価の陽イオン | +1 |
M2+ | 2価の陽イオン | +2 |
また、物質中の各元素の酸化数の和は、その物質が帯電していなければ0になります。酸化数=イオンの価数ですから、電気的に中性な物質を構成する原子の酸化数の和が0となるのは当然ですよね。
一方、多原子イオンでは各原子の酸化数の和が多原子イオンの電荷に等しくなります。この話は、共有結合でつながっている原子の酸化数の話が必要になりますので、最後に説明します。