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理論化学
化学講座 第3回:元素の周期表

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元素を原子番号の順に並べたものを元素の周期表と言います。現在使われている周期表は、ロシアのメンデレーエフという科学者が考えたものです。周期表からは元素の性質について多くの事を知る事ができますので、きちんと暗記しておくと同時に、元素の周期性についてしっかりと意味を理解しておきましょう。

メンデレーエフは原子を原子番号の順番に並べると、性質に周期性があることに着目し、似たような元素が縦に並ぶように並べた表を発表しました。

メンデレーエフが周期表を発表した当時、Ge、Sc、Gaなど複数の元素はまだ見つかっていませんでした。メンデレーエフ以外の科学者たちは発見されていないこれらの元素を無視して周期表を作ったため、彼らの周期表にはやや無理が生じました。しかし、メンデレーエフはこれらの元素が入る部分を大胆にも空欄にして発表し、その空欄に入るはずの元素の性質について詳細な予言をしました。

その予言を信じる人は最初は少なかったのですが、6年後にゲルマニウム10年後にスカンジウムが発見されると、それらの性質がメンデレーエフの予言にあまりにみごとに当てはまったため、彼は一気に有名人となりました。

メンデレーエフの周期表

周期表

周期表のルール

  1. 原子は原子番号の順番に左から右へ、上から下へと並んでいる。
  2. 列を族、行を周期という。
  3. 第1周期の元素は最外殻がK殻、第2周期はL殻、第3周期はM殻というように周期と最外殻の種類が対応している。
  4. 典型元素の最外殻の電子数と族番号の下1桁は一致する。

ただし、おなじ族の性質が似たようなものになるのは、典型元素だけです。第3族~第11族の遷移元素は、電子殻の構造が特殊なため、どの元素も最外殻電子数が1または2になります。そのため、同族よりも、同周期の方が似たような性質を示します。教科書には、隣り合ったものが似たような性質を持つ、と書かれていますよね。

周期表

さて、次は、周期表上での位置と元素の性質について説明します。前回お話ししたように、元素の性質とは電子を手放しやすいか、受け取りやすいかによって決まります。

まず、同じ周期の元素の性質が、族番号によってどのように変化するかを見てみましょう。

まず、前回の講義を思い出してください。
電子数が少ない元素は最外殻の電子を使って陽イオンになりやすく、電子数が多い元素は閉殻またはオクテットになるまで陰イオンになりやすいんでしたね。

ですから、周期表の右のほうにある、つまり、族番号が大きな元素ほど陰イオンになりやすくなります。一方で、周期表の左の方にある、つまり、族番号が小さな元素ほど陽イオンになりやすくなります。

例えば第2周期の元素であれば下のように、Li、Be、Bは陽イオンになりやすく、N、O、Fは陰イオンになりやすくなります。

イオンになりやすい・なりにくい元素

ただし、14族の元素、Cは最外殻電子が4つなのでどっちつかずで、イオンになりにくく、18族の元素、Neは最外殻がオクテットになっているので、イオンになりません。

前回は、この理由を「楽だから」という非科学的なもので片づけていました。今日は、なぜ右の方に行くほど陰イオンになりやすいのかを科学的に説明しようと思います。

まず、陽イオンになりやすいという事は、電子を引き付ける力が弱いという事ですね。また、陰イオンになりやすいということは、電子を引き付ける力が強いという事です。

原子核が電子を引き付ける静電気力は、距離と電荷の大きさによって決まります。Li~Neは、最外殻がL殻なので、原子核と電子の距離は同じです。一方、族番号が大きくなるほど原子核中の陽子数は増加しますから、原子核が電子を引き付ける力は族番号が大きくなるほど大きくなっていくのです。

結果、同じ周期で比較すれば、族番号が大きければ大きいほど原子核が電子を引き付ける力は大きくなり、陰イオンになりやすくなるのです。

では次に、同じ族の元素の性質が周期によってどのように変化するかを見てみましょう。
第1周期の元素は最外殻がK殻、第2周期はL殻、第3周期はM殻ですね。という事は、下のほうにある(周期の大きな)ものほど、最外殻電子と原子核の距離は大きくなります。

従って、同じ族の元素で比較すると、周期の大きなものほど電子を引き付ける力が弱くて陽イオンになりやすく、周期の小さなものほど電子を引き付ける力が強くて陰イオンになりやすくなります。

陽イオンになりやすい・陰イオンになりやすい元素

これらをまとめると周期表では、右上の方に有るものほど陰イオンになりやすく、右下の方に有るものほど陽イオンになりやすくなるということです。ただし希ガスはイオンになりにくいので注意しましょう。

陽イオン・陰イオン周期表

※:遷移元素は全て最外殻電子が1つまたは2つなので、全て陽イオンになりやすい元素ばかりです。したがって、遷移元素は族ごとではなく、周期ごとに似たような性質を示します。教科書的に言うと、『隣り合ったもの同士の性質が似ている』となります。

【ここは大学入試の範囲ではありません】

遷移元素はなぜ最外殻電子数が1または2なのか

遷移元素はなぜ最外殻電子数が1または2なのか。それを説明しようと思います。

まず、電子殻は1つの容器のようになっているのではなく、右図のようにいくつかの部屋(□で表したもの)に分かれています。

部屋1つに1つの電子対(つまり電子2個)が入るようになっています。また、この部屋は下図のようにいろいろな形をしていて、それぞれs軌道、p軌道、d軌道という名前がついています。

K殻はs軌道が1つでできていて、これを1s軌道と呼びます。L殻はs軌道1つとp軌道3つ、M殻はs軌道1つとp軌道3つとd軌道5つからできています。

どの電子殻の電子軌道かを明らかにするためK殻のs軌道を1s、L殻のs軌道を2s、p軌道を2p、M殻のs軌道を3s、p軌道を3p、d軌道を3d・・・と呼びます。

ポテンシャルエネルギー

また、高さはエネルギーの大きさを表していて、下の方にあるものほどエネルギー的に安定であることを表します。

電子に限らず、自然界の変化はエネルギー的に安定な方向に進みますから、電子が電子軌道に配置されていくときは、下から順に配置されていきます。

つまり、電子はK殻1s→L殻2s→L殻2p→M殻3s→M殻3pの順に配置されていくわけです。

さて、3pまでは順番に配置されていくのですが、その次を見ると、M殻の3d軌道より、N殻の4s軌道の方が下になっています。

そのため、次の電子はM殻の3d軌道ではなく、N殻の4s軌道に配置されます。そして、N殻の4s軌道がいっぱいになると、内側にある電子(3p軌道より内部の電子)との反発により、4s軌道はエネルギー準位が上がって、3d軌道と逆転します。

電子軌道

そして、4s軌道の電子が最外電子となったまま、3d軌道に電子が配置されていきます。
3d軌道が埋まっていく元素が遷移元素で、これが遷移元素の最外殻電子数が1個または2個である理由です。

ポテンシャルエネルギー

 
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