私立・国公立大学医学部に入ろう.COM編集部

【1】新テストの特徴(傾向)と求められる力

新テストでは以下の特徴が考えられる。

  • ① 複数の単元に渡る融合問題
  • ② 単に答えのみを答えさせるのでは無く、考え方を述べさせる問題
  • ③ 自ら手を動かしてながら試行・実験をして、規則性・法則性を把握する問題
  • ④ 状況に応じて自ら条件を設定する必要がある問題
  • ⑤ より適切な解法を選択することによって問題解決が容易になる問題

以上の観点から、今回の新テストでは、今までのセンター試験以上に「求められる力」がより明確になったと思われる。
以下、そのいくつかを挙げてみたい。

求められる力①(つかむ力:題意把握力)
いくつかの条件を含む長文の問題に対し、問題の意味を把握し、何が仮定、条件で、何を求めるのか(結論)を正しく判断する力
求められる力②(ためす力:実験・試行力)
与えられた問題に対し、まずは具体的な数値や図で、実験・試行を行い、法則性や規則性といった問題解決に至る方向性を見つけ、その具体例から一般的な問題へ適用する力
求められる力③(設定する力:)
自分で未知数、変数、座標等を設定し、手際よく処理する力
求められる力④(場合分けする力)
状況を正しく判断し、考えられるすべての場合について漏れなく処理する力
求められる力⑤(活用する力)
与えられたヒント(誘導)を適切に用いて問題解決をしていく力。さらには日常生活の問題を数学的にとらえモデル化し、数学の知識、技能を活用する力
求められる力⑥関連づける力
他分野を関連づける単元横断的な柔軟な発想力
求められる力⑦(表現する力)
単に答えを求めるだけでなく、その思考過程を筋道立てて簡潔に表現、記述する力

【2】今後求められる学習のポイント

「How?重視の学習」からから「Why?重視の学習」への転換
ひたすら多くの問題を解くという演習中心の勉強ではなく、定義、定理
の確認、証明、問題のつながりなど、系統を学ぶことが大切。

題材的には特に目新しいものは少なく、教科書の内容を中心とした内容で構成されているので、まずは教科書を通して基礎・基本をしっかりと定着させたい。

ここで言う「基礎・基本」とは単に教科書の例題、練習問題が解けるというだけではなく、定義、定理の確認、証明、一つ一つの問題のつながりなど、教科書を使って系統的に数学を学んでいく姿勢が大事である。

従来のように、ひたすら多くの問題を解くといった演習中心の学習では、今回のような問題に対応することが難しくなると思われる。また問題演習を行う際に、各問題の「解法パターン」、「解法技術」を学ぶだけではなく、数学を学ぶ上で一番重要である、「物事をに対して筋道立てて考える姿勢」、言い換えれば「なぜそうなるのか?」といった「考え方」や「思考の方法」を授業、講義を通して身に付けたい。そのためには、「How?重視の学習」からから「Why?重視の学習」への転換が必要であると思われる。

では、具体的にはどのような学習になるのであろうか。

各単元の学習に加えて

  • 「仮定(条件)と結論(求めるもの)の区別をはっきりする」
  • 「数式だけに頼らず、図やグラフを書く」
  • 「具体的な場合、極端な場合で実験する」
  • 「逆から考えてみる」

といった、すべての分野に共通する「横軸」(一つ一つの単元が「縦軸」とすると)的な発想、思考の方法について日頃から意識したい。

現在のセンター試験の問題に比べて長文の問題が多く、より「読解力」が必要とされるので、日頃から問題文を正確に読む姿勢を心がけたい。

また、現センター試験のように結論(答え)だけではなく、「考え方」を問われる問題が数多く出題される可能性が高いので、自分で考えた思考過程をきちんと表現するトレーニングを積みたい。そのためには友達同士で自分の考えを表現するトレーニングをすると良い。さらには添削指導などを通じて論理的な答案が書けるように訓練するのも良いであろう。

【3】感想(所感)

問題の題材、それほど目新しいものではなく、前回のサンプル問題で登場した「スーパームーン」の問題に比べるとインパクトは少ないが、その分、普段の学習の仕方(学び方)が反映される問題となった。全体を通して「考え方」を問われる問題が増え、今後は問題数はある程度絞られ、一問一問じっくり考える問題が出題されるのではないかと予想される。

つまり、今までのセンター試験では、短時間に「手際よく処理する能力」が重視されたが今後は、一つの問題に対して「じっくりと考察出来る能力」がより重視されるであろう。これに伴い、数学の学習において「量より質」へのシフトが求められるであろう。

そのためには、学習者自身の数学を学ぶ姿勢が重要になってくる。一つの問題に対してどれだけ粘り強く考え抜くことが出来るかといった姿勢こそが、新テストの出来に大きく影響すると思われる。

日々の学習においては、「出来るだけ答えを見ずに自分で考える」、「分からない問題であっても最低一問20分は考える」、「具体的に試行・実験をする習慣をつける」、「図を書いて考える」、「色んな方法で考えてみる」、「自分で考えたことをアウトプットする」、「筋道立てて説明することを心がける」、「自分の思考過程を振り返ってみる」といった姿勢で臨むことが、自身の思考力、活用力を高める上で大切となってくる。