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東京医科大学 小論文 過去問解析

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過去三年間の出題内容

2018年 菅野仁『友達幻想』を読み、「同調圧力」に対する説明とそれに対する自分の考えを600字以内で述べる。
2017年 神谷美恵子『生きがいについて』を読み、生きがいについて、自分の経験を絡めて、600字以内で述べる。
2016年 森於菟『耄碌寸前』を読み、傍線部の意味するところを、400~500字以内で述べる。

分析

課題文型の小論文で、2016年までは現代文の読解問題に近い出題であったが、2017年から傾向が変化し、自分の考えを述べるものになってきている。2018年は菅野仁『友達幻想』が出題された。「同調圧力」については、心理学者の榎本博明氏や教育学者の齋藤孝氏などの著書でも取り上げられている。近年は特にこの同調圧力に苦しめられている人が増えている。受験生の中にも経験のある人がいるのではないだろうか。本来は幸せになるための「友だち」や「親しさ」が、自分を苦しめるものとなり関係がおかしくなることを著者は「同調圧力」と呼んでいる。現代の若者は直接的な人間関係だけでなく、スマートフォンの普及などによりSNSなどを通した間接的な人間関係にも縛られている。この点を踏まえて同調圧力について説明する。また、自分は「同調圧力」をどのように受け止めているか、どう対処するかなどを考える必要がある。この「同調圧力」に対する考え方は、他者との関係についてどのように考え、どう行動するかがわかるものであり、コミュニケーション能力を見るものとなっている。

2017年は神谷美恵子の『生きがいについて』から、「生きがいについて、自分の経験を絡めて」論じるというものであった。この『生きがいについて』という本は1966年に発刊され、「生きがいとは何か」を論じた名著として、ブームを引き起こした作品である。2018年の5月にNHKの「100分de名著」でも取り上げられたものである。テーマとしては論じやすいものである。

2016年は森鴎外の息子で解剖医学の第一人者である森於菟『耄碌寸前』からの抜粋であった。年老いて記憶力もあやしくなった自分は若者に理解されようとも、若者に教訓を与えようとも思わないという内容の文章で、若者である受験生の中には立場が違いすぎるため論じにくいと感じた人もいたかもしれない。

東京医科大学は、2016年にダイバーシティ推進本部を設置し、多様性を重視するようになった。多様性を受け入れるには自分にはないもの、なじみのないもの、経験したことがないもの、自分とはまったく異なる立場や思想などを持つ人について、抵抗なく受け入れ、理解する力が求められる。これらの問題では、そういった力を見ていると言えるだろう。

また、アドミッション・ポリシーの中で、「本学の建学の精神は『自主自学』であり、自主性を重んじた医学教育を実践し」、「校是として『正義・友愛・奉仕』を掲げ」ており、「この建学の精神、校是およびミッションを理解し、多様性、国際性、人間性を兼ね備えた医療人となる高い志を持った、次のような人を求めている」と明示している。その求める人材の中に「十分な基礎学力をもつ人」「自らの意見を他者に伝えるとともに、他者の意見を理解できる協調性と柔軟性をもつ人」「医療を通して国際的視野で活動する志のある人」という項目を設けている。小論文を通して、受験生がこれらの点を満たしているかどうかを見ていると言えるだろう。

対策

課題文を正確に理解する読解力の養成をまず行う。主語・述語・接続語・指示語などを意識して文章を読むという現代文読解の基本をしっかりと身につけ、文章を正確に理解することが重要である。問題や話題を提示している文、結論・主張を述べている文を捉えることを意識して文章を読む練習をしておこう。指示語の内容や接続語に注意して、論理展開を捉えるようにしする。この基本を押さえたうえで、因果関係、対比関係、具体例、引用などに注意して、文章の中心内容を捉える。この文章は何について書いているのか、筆者が最も言いたいことは何か、なぜそのような主張をするのか、なぜその結論に至るのかなどを押さえられるようになることを目指そう。随筆では、事実と意見・感想の読み分けや体験と感想の関係の読み取りなどにも注意しよう。

2018年と2017年は自分の考えを述べる形式のものであったので、構成メモをもとに小論文の基本である序論・本論・結論を意識して文章を書く練習をしておこう。また、アドミッション・ポリシーで求められている「十分な基礎学力」や「自らの意見を他者に伝えるとともに、他者の意見を理解できる協調性と柔軟性」、「医療を通して国際的視野で活動する志」が求められていること、また多様性を重視していることも踏まえて文章を書くようにするとよい。そのためには、わかりやすく読みやすい文章を書くことである。論理展開が明快で理解しやすい文章を書くためには、序論で結論を提示する頭括型にするとよい。自分の最も言いたいことが頭に残りやすくなり、結果として論理矛盾のない文章が書けるようになるからである。表現・表記面では、主語・述語の対応や指示語・接続語・修飾語・読点の適切な使い方などを確認することも重要となる。主語と述語のねじれや修飾関係のあいまいな文は避けねばならない。一文の字数は最大でも70字程度にすることで読みやすい文にすることができる。また、書き言葉と話し言葉を正確に使い分けられるようにもしておこう。

2016年以前の出題は現代文の読解問題に近いので、現代文の読解問題集を活用して、細部読解の記述問題と全体内容を踏まえたうえでの記述問題の演習を行い、読解力と記述力を養う。文章を400字程度で要約する練習を行うと読解力と記述力の養成を同時に行うことができる。

同じ課題文型で400字~500字指定で問いに答える自治医科大学や、これも同じ課題文型で600字以内で自分の考えを述べる獨協医科大学などの過去問にあたるのもよいだろう。

さらに、物事を多角的に考え、それぞれの視点についてその根拠や対立する視点を考えるようにする。「なぜ」と問うことを習慣づけたり、自分とは異なる見解を想定してそれに反論したりする練習を行うのも役に立つ。また、日頃から他者理解という点を意識して会話をしたり、自分と他者との見解の違いなどを考えたりするとよい。その際、他者の置かれている状況や背景なども絡めて考えるとよい。

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