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日本大学 小論文 過去問解析

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過去三年間の出題内容

2018年 A方式
デール・カーネギー著 香山晶訳『道は開ける』を読み、文章中の「考える」ということがどのように「あなたそのもの」であるのかについて筆者の考え方を説明し、自分にとって「考える」とはどのように重要であるか、自分の考えを741字以上800字以内で述べる。
N方式
マイケル・J・サンデル著 林芳紀・伊吹友秀訳『完全な人間を目指さなくてもよい理由 ―遺伝子操作とエンハンスメントの倫理―』を読み、「被贈与性を気にかけることの人間社会への貢献」について、著者はどのように考えていると思うかを、本文中の言葉を用いてまとめて説明した上で、その考えに関する自分の考えを741字以上800字以内で述べる。
2017年 A方式
内田樹『日本辺境論』(“辺境人は日本語と共に”より抜粋)を読み、著者は「日本人のコミュニケーション」にどのような特性があると考えているのかを説明した上で、その著者の考えについて、自分の考えを741字以上800字以内で述べる。
N方式
スティーヴン・ワインバーグ著 赤根洋子訳『科学の発見』を読み、生物学と他の科学との統一に限界がある理由について、自分の考えを741字以上800字以内で述べる。
2016年 A方式
稲垣良典『恵みの時』(“「見ること」の意味”より抜粋)を読み、下線部の「見る」ことの働きについて著者はどう理解しているかを説明した上で、それが日常でどう重要であるかについて、自分の考えを741字以上800字以内で述べる。
N方式
菅野仁『友だち幻想 人と人の<つながり>を考える』を読み、著者は「ルサンチマン」の性質とその対処法についてどのように述べているかをまとめた上で、自分の「ルサンチマン」対処法を741字以上800字以内で述べる。

分析

課題文型での出題である。過去三年間、出題形式の変更はない。文章量は多くはないが、内容が抽象的であったり観念的であったりして難解なものが多い。心理学・哲学・科学など出題されるテーマも幅広く、正確な読解力が要求される。設問文には必ず条件があるが、この条件に沿って答えるためには、問われていることを正確に読み取り、論理展開の明快な文章を書く記述力が必要となる。2018年A方式で出題されたデール・カーネギーの『道は開ける』は彼の名著である。冒頭部分の筆者がラジオ番組に出演した際のエピソードも重要な部分となっており、論述の手掛かりとなる。N方式で出題された『完全な人間を目指さなくてもよい理由 ―遺伝子操作とエンハンスメントの倫理―』の著者であるマイケル・J・サンデルは、ハーバード大学の教授で、一時期日本のテレビ番組にも出演したことがある。「被贈与性を気にかけることの人間社会への貢献」について筆者の考えとそれに対する自分の考えをまとめるというものであり、苦戦した受験生も多かったのではないか。「被贈与性」とは、「生は自然、もしくは神からの『贈り物』である」ということを押さえたうえで、「人間の能力や異形の被贈与的性格」が蝕まれることで生じる問題について述べている点や、被贈与性を意識することが自惚れへと陥る傾向を抑制するという点に着目できればまとめることはそれほど難しくはないだろう。2017年のA方式、『日本辺境論』の著者である内田樹は小論文・現代文における頻出著者の一人である。今回はコミュニケーションに的を絞った形での出題となっている。N方式で出題された『科学の発見』の著者、スティーヴン・ワインバーグは1979年のノーベル物理学賞受賞者である。テキサス大学の教養課程の学部生にむけて行っていた講義のノートをもとにして書かれた『科学の発見』が綴られた本書は、欧米で物議を醸した。筆者の考えを正確に読み取る読解力が求められている。2016年は2015年よりは難化したとはいえ、2017年・2018年よりは理解しやすかったのではないだろうか。A方式では、「見る」というキーワードをしっかり押さえて読めば問題ない。N方式は、「ルサンチマン(=弱い者が強い者に対してうらみ・ねたみ・そねみなどの感情を持つこと)」への対処について、筆者の考えと自分の考えを述べるもので、身近なテーマであり理解しやすいものと言える。2016年から筆者の考えを説明させたうえで自分の考えを述べる形式になったが、2017年・2018年度も同様であるので、今後もこの傾向は続くと想定しておくほうがよい。

日本大学の医学部教育目標の一つに「高い倫理観のもとに、論理的・批判的思考力を有し、世界へ発信できる学際的視野を持った研究者の育成」というものがある。近年出題されている文章のレベルと設問レベルを見ると、大学入試に必要な論理的思考力と批判的思考力があるかどうかを見ていると言えるだろう。

対策

まずは、文章を早く正確に読む力を養成することが必要である。指示語の内容や接続語に注意して、論理展開を捉えるという現代文読解の基本を押さえることが大前提である。この基本を押さえたうえで、問題提起や話題を提示している文、結論・主張を述べている文を捉えることを意識して文章を読むようにする。キーワード・キーセンテンスを正確に捉え、因果関係、対比関係、具体例、引用等に注意して、文章の中心内容を理解する。その際、この文章は何について書いているのか、筆者が最も言いたいことは何か、なぜそのような主張をするのか、なぜその結論に至るのか、ということを押さえられるようにする。

段落ごとの要約を行い、要点・要旨を理解するとともに、段落相互の関係を考えるようにするとよい。これにより、一見重要ではないように思われる部分の見落としを防ぐことができるようになる。

そして、設問文で問われていることを正確に押さえ要素を落とさずにまとめる練習と、論理的思考力・批判的思考力に基づいた論理的で明快な文章を書く練習を行う。批判的思考力とは、物事の問題を特定して分析し、論理的・合理的・多面的に評価を下すことを意味する。この論理的思考力・批判的思考力を養成するためには、様々な物事を多方面から考える習慣をつけること、様々な物事について「なぜ?」と問う習慣をつけることが重要である。

同時に、語彙力の強化を行うことも必要である。言葉の意味を覚えるとともに、わからない言葉はまず文脈から意味を推測し、辞書で意味を確認しよう。桐原書店の『頻出現代文重要語700』などを活用してもいいだろう。

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