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北里大学 小論文 過去問解析

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過去三年間の出題内容

2018年 1日目
渡部昇一『知的人生のための考え方』
問1:20字以内でタイトルをつける。
問2:本文から読み取れる著者のメッセージを、200字以内で要約する。
問3:学問に対する態度・心構えとして、自分が重要と考えることをその理由の具体例を示しながら800字以内で述べる。
2日目
里見清一『医者と患者のコミュニケーション論』
問1:20字以内でタイトルをつける。
問2:著者が医療のツークツヴァンク(チェスの用語で「どういう手を指しても局面は悪化するが、それでも自ら手を指さざるを得ない状況」を指す言葉)において重要だと考えていることを、200字以内で説明する。
問3:患者が医療のツークツヴァンクに陥ったとき、自分が採る対応を600字以内で述べる。
2017年 1日目
大杉義征『新薬アクテムラの誕生』
問1:20字以内でタイトルをつける。
問2:傍線部について嬉しくなった理由を、400字以内で述べる。
問3:文章で述べられていることを、自分の人生でどのように生かしてゆけばよいと考えるか、実際の体験を挙げて800字以内で述べる。
2日目
桐野高明『医療の選択』
問1:30字以内でタイトルをつける。
問2:筆者が考える「医療の限界」とはどういうものか、200字以内で述べる。
問3:超高齢社会を迎えた日本の今後の介護の在り方について、自分の考えを800字以内で述べる。
2016年 1日目
吉岡俊正『医療人を育てる』(矢崎義雄編『医の未来』所収)
問1:20字以内でタイトルをつける。
問2:筆者が医療を行ううえで「チーム」を必要とする理由を、300字以内で述べる。
問3:医療教育の目標として考えられることを、「コミュニケーション力」・「説明力」の2語を使って具体例とともに600字以内で述べる。
2日目 比企寿美子『がんを病む人、癒す人』
問1:20字以内でタイトルをつける。
問2:筆者が懸念している医師養成教育の問題点について、200字以内で述べる。
問3:本文の主旨をふまえて、自分が「医」を志した理由を600字以内で述べる。

傾向

課題文型での出題である。課題文は1200字~2000字と幅がありやや多めで、記述の総字数が1000字前後になるので、時間配分に注意する必要がある。年々解答字数が増えているため、総字数1500字程度までの解答を想定して時間配分を考えたほうがよいだろう。

医療と関わる文章の出題が続いていたが、2018年の1日目では、医療分野以外の文章が出題された。しかし、文章内容は「己に対して忠実なれ=良心に恥じないようにせよ」という姿勢が知的生活において大切であることについて述べられており、学びの姿勢や医師としての姿勢にもつながるものでもある。問1はタイトルをつけるもので、キーワードを素早く的確に見抜き、要約する力が求められている。問2は理由の説明、筆者の見解・主旨を踏まえ具体例を含めて論じる問いが例年出題されているが、2018年の1日目では著者のメッセージを要約する問題が出題された。問3は、本文内容を踏まえての論述問題である。分析力・要約力・説明力などが問われるものであった。2日目は医療のツークツヴァンクについて考えさせる文章であった。ツークツヴァンクとはチェス用語で、相手からの直接の狙いはないにもかかわらず自ら状況が悪化する手を指さざるを得ない状況、どういう手を指しても局面が悪化するという状況を意味する言葉である。問1は1日目と同様、タイトルをつけるもの、2日目は医療のツークツヴァンクにおいて何を重要と考えるかを述べるもの、問3は患者が医療のツークツヴァンクに陥ったとき、自分ならどう対応するかを述べるものであった。1日目も2日目も、医師としての適性を中心に見る問題と言えるだろう。

2017年の2日目と2015年の1日目はともに、桐野高明『医療の選択』からの引用であった。引用部分が異なるとはいえ、過去三年の間に同一作品から引用されることは珍しい。2016年の吉岡俊正『医療人を育てる』が収められている『医の未来』は、他の作品を他大学でも出題しているので、今後も注意が必要だろう。

3問の小問構成と、課題文にタイトルをつけるもの、内容理解を問うもの、最後に自分の考えを述べるものの3問が出題される形式は、2016年・2017年の聖マリアンナ医科大学と共通している。

基本的に問1は、キーワードを素早く的確に見抜き、要約する力が求められている。これは、医師が、患者の発する様々な情報の中から重要なものを抽出し、分析する際に必要となる力である。問2は読解問題と捉えてよい。理由の説明、筆者の見解・主旨を踏まえ具体例を含めて論じる問いが出題されている。問3は、本文内容を踏まえての論述問題である。自分はどう考えるかが問われ、医師としての適性が見られていると言えるだろう。自己の見聞や体験を根拠として述べる力が求められている。

対策

設問を解くにあたっては、まず早く正確に文章を読む力を養成することが必要である。同時に設問文の条件をしっかり押さえることも重要である。問3が小論文らしい設問となっているが、設問文に明確な指定があるので、これらに沿わない内容をいくら論じても、採点対象にすらならない。論じるべき点がはっきりと提示されている場合は、この点を決して外さないようにしよう。問1・問2の対策としては、現代文の読解問題を用いて要旨を捉える練習や読み取りの練習を行うとよい。問3については、しっかりとした構成メモの作成を行い、序論・本論・結論という流れを意識し、構成を組立ててから文章を書く練習を行う。2017年は800字の指定があったので、600字~800字の範囲の設定で、構成メモをもとに文章を作り上げる練習をしておく。

基本的な医療用語は押さえておくほうがよい。また、近年の出題傾向から、北里大学医学部が掲げる理念である「人間性豊かで、優れた医師の養成」や「プロフェッショナルなチーム医療をリードする医師を育てる」という目的に適した人材を求めていることを念頭に置いて対策をする。チーム医療に携わる医師として、自分はどうありたいか、何が求められているかなどについて明確な考えを築くとともに、単なる主観にとどまらず根拠を明らかにし、説得力を持たせた文章を書く練習をしておくことが必要である。日頃から他者理解という視点を意識して会話をしたり、他者理解や共感力をテーマとした文章を読んだりすることも有益である。そうした文章を読みながら見聞を広くし、自分の目指す医師像というものを明確にしておくことは問3の対策として役立つだろう。

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