私立大学一般入試(前期・後期)の概要とデータのみかた
私立大学医学部一般入試の方法

※一部、当日に小論文を書かせる大学もある
私立大学医学部の一般入試は、帝京大学など、一部の大学を除いて、学科試験による一次試験と、一次試験合格者に対する面接、小論文などの二次試験によって行われます。
一次試験(学科試験)は、英語、数学、理科2科目(東海大学は1科目、帝京大学は選択3科目(英語必須))が課され、大学により、マークシート式、記述式、併用式の3つの方式で行われます。
二次試験は、面接、小論文によって実施されますが、面接には、試験官(複数の場合が多い)と学生1人による個人面接、試験官と複数の学生によるグループ面接、複数の学生があるテーマについて話し合うグループ討論があります。小論文は、テーマを与えられてそれについて自由に記述するテーマ型、文章や資料を読んでそれを論じる課題文型、語句や指示語の意味を答えさせる国語型(小論文は名目で完全に現代文の試験)の3種類があります。
各大学がどのような試験を行うかについては、個別の大学対策の記事を参照してください(2016年6月以降執筆予定です)。
私立大学医学部一般入試の日程

※一次試験はわずか2週間ほどで行われ、日程の重複が激しい。
私立大学医学部の一般入試は、センター試験2日後から始まり、その後、2週間程度で29校のほとんどが一次試験を終えます。一次試験の合格発表は一次試験から1週間以内に行われ、その数日後には二次試験が実施されますので、この2週間は毎日のように複数の大学が一次試験と二次試験を行うことになり、受験校や入試会場を戦略的に選ばないと大変な目に合うことになります。
また、一次試験と二次試験が重複している日もあります。例えば、2016年度入試の1月28日は愛知医科大学の二次試験と東京女子医科大学の一次試験が重複しました。そのため、愛知医科大学に一次合格した場合は東京女子医科大学を受験できなくなるので注意が必要でした。
大学によっては、二次試験と他大学の一次試験が重複することを回避するために、二次試験を2日実施し、そのうち一方の日程を選択して受験すればよいとする大学もあります。(2日実施するが受験日を指定される大学もある)。2017年度入試のデータがまとまり次第、ホームページ内で公開します。
2016年度入試でも、次のリンク先にあるように、日程の重複が激しく、受験校の選択が大変でした。
- 2016年度入試日程はこちら
日程の重複のしかたによって志願者数が増減し、受験難易度が多少変化することがあります。受験生はともかく、指導者は注視するべきでしょう。 - 入試方式の選び方はこちら
- 受験方式の組み合わせと、年間の学習スケジュールの考え方はこちら
- 志願者数の増減の要因についてはこちら
私立大学医学部一般入試の受験者数と倍率、繰り上げ合格について
私立大学医学部入試の倍率は、20倍とか40倍と言われています。でも、それは本当でしょうか。確かに、私立大学医学部入試の志願者総数は10万人を超えている一方で、募集人数の総数は3200名程度です。単純計算では約30倍となり、非常に高倍率の試験であるように見えます。
しかし、よく考えてみると、日本の18歳人口は120万人程度で、大学進学者はその半分くらいですから約60万人、その半分が理系だとすると、理系は30万人ですから、浪人生を合わせても、毎年の理系の受験生は40万人程度と考えられます。
仮に、10万人が私大医学部を受験しているなら、理系の受験生の4分の1が私大医学部医学部を志望していることになり、これは明らかに不自然です。
実は10万人というのは、各大学の志願者数の総和で、1人を何重にもカウントした「のべ受験者数」です。実際の受験者数は、3万~4万人人程度というのが実情で、実質倍率は10~15倍程度だと考えられます。(これでも十分に超高倍率ですが)
では、なぜ20倍や、時として40倍という数字が言われるようになったのかというと、正規合格者数しか発表しない大学がかなり多いためです。正規合格であれば、単純に志望者数÷募集人数となりますから、倍率が30倍、あるいは40倍を超える(後期は100倍を超えることもある)ものとなり、その倍率を単純に平均すると、倍率が30倍を超えてしまうのです。
私立大学医学部一般入試の偏差値について
私立大学医学部一般入試の偏差値は、最低で62.5と非常に高くなっています。(下表)
しかし、偏差値70でも合格しない学生がいる一方で、偏差値55くらいでも合格する学生もいます。このような違いがなぜ生まれるのかというと、これは、模試(特に記述式)の出題傾向と私立大学医学部の出題傾向がまるで違うためです。
記述式模試は、国立の難関大学の受験者もいるため、難易度の高い問題や高度な思考力を必要とする問題が混ざっています。これらの問題を解くためには、深く考える洞察力が必要とされますが、意外とたくさんの知識や解法を知っている必要はなく、思考力のみ解けてしまう問題も多く含まれています。
一方、私立大学医学部の問題は、一見易しく見えるのですが、解いた経験がないと時間内に正解に至らないような問題も多く含まれており、模試の成績が結果に直結しないことも多いのです。
また、教科の中では英語が最も大切で、次に理科が大切、数学はあまり重要ではありません。数学の偏差値が70で英語の偏差値が60を切るくらいだと合格は難しく、その逆は、合格の可能性がかなり高くなります。
大手予備校で合格の基準とされる偏差値
大学 | 偏差値 | 大学 | 偏差値 | 大学 | 偏差値 |
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慶應義塾 | 72.5 | 日本 | 65 | 北里 | 62.5 |
東京慈恵会医科 | 70 | 杏林 | 獨協医科 | ||
順天堂 | 愛知医科 | 埼玉医科 | |||
大阪医科 | 兵庫医科 | 聖マリアンナ医科 | |||
関西医科 | 久留米 | 川崎医科 | |||
自治医科 | 67.5 | 東京女子医科 | |||
日本医科 | 東海 | ||||
東京医科 | 帝京 | ||||
昭和 | 藤田保健衛生 | ||||
産業医科 | 福岡 | ||||
東邦 | 岩手医科 | ||||
近畿 | 金沢医科 | ||||
東北医科薬科 |