はじめに

医学部受験予備校COSMOS(コスモス)数学科の”山K”です。
最近、パソコン、電子ドラム、ドローンなど、欲しいものがたくさんあって、必死に物欲を抑えています。

そんな私が書く、連載4回目のこの記事のテーマは「第一回記述・マーク模試が終わったみなさんへ、医学部入試と偏差値のとらえ方」です。

返却された模試の偏差値を見て、一喜一憂している人もいるでしょう。偏差値については一度記事にしたことがありますが、さらに別の観点から偏差値をとらえ直してみましょう。

偏差値をどうとらえればよいか

以前の記事でこう書きました

私の予備校講師の経験を元に、荒っぽく言い切ってしまうと、国立に合格するには偏差値70近く、私立に合格するには偏差値65前後が必要です。少なくとも、偏差値が60を超えてこなければ話になりません。

記事ではさらに続けて、偏差値65以上というのは、集団の上位約7%であることを示しました。医学部に合格するということが、どんなに難しいかを実感して欲しかったからです。

さて、あなたの模試の成績はどうでしたか?

「オレの偏差値は66だ。やった!合格しそうだな」
「ワタシの偏差値は63。ああもう無理かな・・・」
「久留米医学部の偏差値ランキングは67.5。息子は偏差値65でした。志望校を変えた方がいいだろうな」

これらはよくある感想ではありますが、あまりよくない考え方だと思います。なぜならば、些細な偏差値の違いで、気持ちがアップダウンしたり、方針を変更しようとしたりしているからです。偏差値は、とても便利な数値ではありますが、過剰に反応すると、一つも良いことはありません。

偏差値は絶対ではない

偏差値は数字です。数字は明確なだけに、何かしら絶対的なモノを感じ取ってしまいがちです。例えば、偏差値66は65より上です。すると、偏差値65の人は66の人に「負けた」と思いがちだし、逆に66の人は「勝った」と思うかもしれません。しかし、そんなことには何の意味もありません。

なぜなら、今後あなたが受ける試験において、偏差値65や66に相当する成績を取ることが保証されたわけではないからです。

せいぜい、「偏差値65~66に相当する成績を取れるかも知れない」くらいだと思います。

今回あなたが受け取った模試の偏差値は、同じ模試を受けた受験生という集団の中で、5月に行われた模試について、集団のどのあたりにいるか、を示したモノです。つまりは、ある特殊な状況で算出された数値に過ぎない、ということです。

あなたは適当に選んだ選択肢がたまたま当たったのかもしれません。だったら、成績はかさ上げされていることでしょう。逆に、うっかりミスで点数を落としているかもしれません。その場合は成績が低く出ているでしょう。

まだ試験まで7~8ヶ月ありますから、その間にあなたの成績が急激に伸びるかもしれません(あるいは逆に・・・)。

さらに本番の試験では、あなたが受ける大学を、今回の模試を受けたみんなが受けるわけではありません。たまたま成績のいい人が集中して受験してしまい、あなたの相対的成績は下がるかもしれません

いろいろ考えれば、たった1回の模試で取った偏差値が、何か絶対的なモノを示しているわけではないことが分かるでしょう。

幅を持って受け止める

ですから、偏差値は幅を持って受け止めた方がいいと思います。

例えば、あなたの偏差値が60ならば、57から63くらいの間だと思いましょう。

そうすれば、偏差値の1や2の違いで右往左往することもなくなるはずです。

時間はまだあるのですから、志望校に向けて少しでも成績を上げることに力を入れることの方が大切です。偏差値は「ふーんこのくらいね」というくらいで軽く受け止め、勉強に集中しましょう。

科目ごとの偏差値にも着目しよう

模試の成績表を見ると、偏差値は科目ごとに算出されており、それをさらに平均した全科目の偏差値が載っています。(でもよく考えてみれば、科目ごとによって受験生の集団も違うのに、単純に平均することに何か意味があるのでしょうか)。

全科目の偏差値を参考にする人は多いですが、科目ごとの偏差値もしっかりチェックしましょう。

次の二人はどちらが合格しやすいと思いますか。

Aさん 偏差値67(英語67、数学69、化学66、物理66)
Bさん 偏差値67(英語74、数学60、化学62、生物72)

二人はどちらも偏差値67となっています。でも内訳は違います。Bさんの方が、科目間の成績にばらつきがあることが見て取れます。

科目ごとの難易度や、足切りのあるなしでも変わってきますが、おおむね、Aさんの方が合格しやすいと思われます。

なぜなら、Bさんは英語や生物では点数を稼げるかもしれませんが、数学や化学はみんなより点数が低くなるかもしれません。こういう場合、数学の影響が大きく出るケースは多いのです。

足を引っ張りそうな科目があれば、重点的に勉強して成績を上げておきましょう。

最後に

今回の記事では、偏差値について書きました。
とても便利で参考になる数値ではありますが、偏差値の1や2の違いで右往左往しないようにしましょう。

<今週のK-Word>

偏差値は合格を保証するモノではない。
試験当日に、目の前の問題を解いて合格を勝ち取る。
やることはそれだけだ。

【情報提供】
医学部受験予備校 COSMOS(コスモス)