やはり心構えが大事。でも具体的にどうすれば?

同じ授業を受けて、同じ宿題をしているのに、伸びる人と伸びない人がいます。学習は、基本的に指導者(または参考書・問題集などの教材)と学習者とのやりとりにより進んでいきますから、もちろん指導者や教材づくりに関わる者(筆者自身も含めて)が努力すべき部分も多いのですが、それについてお話しするのは別の機会にさせていただくとして(汗)、今回は学習する皆さんの心構えについて、主に述べさせていただくことにします。

学習を『作業』にしない

残念ながら、多くの受験生にとって、受験勉強はつらいものです。そんな中、学習と呼ばれるものが、いつの間にか目の前の課題をやっつけていくだけの『作業』に、変わってはいないでしょうか。作業だと思ってしまうと、つまりは「心」が入らないわけで、そんな状態では

目の前にある様々な「チャンス」を、自分で逃してしまうことになりす。

そして、チャンスをつかんでも逃しても、時間は同じように流れていってしまいます。非常に勿体無いことをしているんだという意識を、まずは持って下さい。筆者が今までに見てきた、典型的な伸びない人たちの特徴を、パッと思いつくだけあげてみたのが以下ですが、思い当たるふしはありませんか?

≪伸びない『作業』いろいろ≫ 自分のための学習という意識が希薄で、様々なチャンスを逃す人

  • 何となく授業を受けている。居眠り。ノートをとらない。「書けと言われたから書く」、それだけ。
  • やるべきことを指示してもらわないと、取りかかれない。(端的な例は「考査対策プリント」)
  • 宿題を、締め切りギリギリになって始める。計画的にこなせない。答え合わせも雑にしてしまう。
  • 参考書・問題集をひととおり解いただけで「仕上がったつもり」(「これをやれば何点取れますか?」)
  • 読み手のことを考えて答案を書こうとしない。解法を理解するだけで一杯いっぱい。自己中心的。

では、どうすれば伸びるか?単純に言えば、今のようなことをせず、正反対のことをしたらよいのですが、どうしても今のようになってしまう人には、ひとつ足りないことがあります。今受けている授業なら授業、それはもう2度と繰り返されないものです。今日出た宿題の問題が分からなくて、次に考えるチャンスが来るのがもし来年になるとしたら、来年の自分に、同じレベルの問題に同じ時間・労力をかけられる余裕はあるだろうかと考えてみて下さい。入試日程も迫ってきますし、恐らく他教科で学ぶ内容も難しくなりますから、答えはノーです。そう考えていくと、当たり前のことですが次のような努力を重ねていく人の方が、はるかに伸びることは容易に想像できますよね。

≪伸びる『学習』いろいろ≫ 一瞬一瞬を大切にしながら、自分のために学習できる人

  • 授業では板書以外(先生の発言など)もノートに書く。ノートを見直して授業を再現する。
  • 参考書・問題集で学習するときは、分からないところ、学びたいところに集中的に時間を費やす。
  • 宿題に出る前から問題集の問題を解く。計画的に進め、解説は理解できるまでじっくり読む。
  • 定期考査前には宿題の問題を解き直す。自分の弱点を見直し、強化する良いチャンスになる。
  • 文章だと思って、答案をきちんと書く。意味の通らないところがないか確認する。客観的。

あれこれ書いてしまいましたが、これが全部出来る人は稀でしょう(それはもはや、1つの立派な「能力」といえます)。筆者自身も、受験生のときにこんなに素直な心で学習できたら、もっと力をつけられただろうにと恥ずかしくなります(苦笑)。が、この5つの中でもいいですし、まったく別のことでもかまいませんが、皆さんにも出来そうなことが1つや2つはあるでしょう。まずは、そこから実践してみましょう。

筆者の場合、数学に関しては定期考査の準備といっても何をしたらよいか分からず、ほとんどやっていませんでしたし、宿題のやり方もいい加減だったと思います。が、そのぶん授業を受けるときは集中し、板書以外もノートに書いたりして、理解に努めようとはしていました。あと、答案はともかく、ノートは自分が読めれば良いわけですから、なるべく速く書けるようにしようと一時期はそれだけを練習していました。学習段階に当てはめれば「練習」段階(1-2と2-2)が弱いということは、自分で意識できていたので、その前段階を強化することで、補おうとしていたのだろうと思います。恥を忍んで書かせていただきましたが(そして、いささか我田引水な話で申し訳ありませんが…)、何かのヒントになれば幸いです。

まとめてみました

さて、「一瞬一瞬を大切にする」と言いましたが、だんだん数学に限った話ではなくなってきたので、少しまとめておきます。

まず何より大事なのは、「いざというときの集中力」です。学習を『作業』にしてしまう人は、定期考査や模試を受けるときだけ集中したらよいと思っているフシがあります。普段から集中するクセをつけておかないと、いざというときに力が発揮できません。その練習だと思って、まずは授業から、そして宿題などに取り組む際にも集中できるようにしましょう。集中するには、体力をつけることも必要かも知れません。繰り返しになりますが、自分なりのアプローチを見つけましょう。

しかし、ずっと集中していなさいと言われても限界があります。そこで意識すべきなのが「メリハリ」なのですが、自分が力を抜きたいときに適当に抜いてしまうとダメですよね。そこで、授業を受けるときでも、問題集などの解説を読むときでも、「先を読む」ことを意識してみて下さい。やっていくうちに、答案や計算、図などのどの部分をきっちり書く必要があるか、徐々にわかってきて、ミスも犯しにくくなります。

そして、最後に言わせていただきたいのは「客観視」です。時には上の視点から、自分がやっていることを見つめてみましょう。授業の受け方、ノートのとり方、宿題への取り組み方、テストの答案。また最近では面接などの試験を課す大学も増えていますが、そこでの評価のされ方。これらはすべてつながっています。過去に受けた試験の答案なども、一度読み返してみたら面白いかも知れません。「自分はいろいろな目で見られている」という意識を持つこと。受験を意識した学習は、ここから始まるといっても過言ではありません。