Do Series 鎌田の理論化学の講義
- 出版社
- 旺文社
- 種類
- 参考書・講義調
- 著者
- 鎌田真彰
- 難易度
- 理論化学の講義 入試基本~入試標準レベル
319ページ・91問・別冊47ページ
書評
教科書レベルをマスターし、一通りの入試基本レベルの問題が解けるようになった人が、より高度な問題の解き方を勉強するための本。厚みのない冊子の中に、91問の入試問題を元にした問題が掲載されている。どの問題も元の問題よりも短くされており、ポイントがつかみやすいように工夫されている。
本書は、旧課程の「鎌田真彰の化学 理論化学(必修知識編)」と「同(計算問題解法編)」の二冊をまとめて編集したものだが、知識と計算の2冊に分かれていたものが1冊に編集されたことにより、まとまりが出て読みやすくなった。
また、旧課程の2冊は、基本的な入試問題程度ができるようになっていることが前提であったので(ここは本書も同じだが)、その前段階にどの本を持ってくるかで悩まされたが、同シリーズのエントリー書として、「Do Startシリーズ 橋爪のゼロから劇的にわかる理論化学の授業」が出版されたことにより、化学をゼロから学びたい人や苦手な人が、基本から始めて難易度の高い化学の問題を解くレベルに到達するための道筋が完成した。
「橋爪のゼロから~」は書名の通り、全く知識ゼロから化学の勉強をする人向けに書かれているが、高度な問題の基本となる知識や考え方が丁寧に書かれており、ある程度化学に自信がある人も、一度読んでから本書に進むと良い。本書の内容がよりスムーズに理解できるようになるだろう。
本書の到達点は、私立大学医学部・地方国立大学医学部の入試問題を解くために必要な手法を身に付けたレベルである。トピックス的に、電子軌道など、高校内容を逸脱したものも含まれている。
ただし、この本は、レベルの高い化学の問題を解く上で必要な最低限の知識や考え方を体系化することを目的としているため、複雑な問題(たとえば並列の電気分解槽の問題など、問題文として長いもの)は出てこないし、ホール・エルー法や、電解製錬などの計算問題はいやにあっさりとしている。
そのため、本書だけで入試対策とすることは出来ない。本書を軸にして、別途、「セミナー」や「重要問題集」など、入試問題が載っている問題集をしっかりとやり込む必要がある。
目次
第1章:原子と化学量
- 01:有効数字と単位/02:原子/03:物質量/04:電子配置と周期表/05:イオン化エネルギーと電子親和力
第2章:結合と結晶
- 06:化学結合と電気陰性度/07:共有結合と分子/08:金属結合と金属/09:イオン結合/10:分子間で働く引力/11:結晶/12:金属の結晶/13:イオン結晶/14:共有結合の結晶/15:分子結晶
第3章:基本的な化学反応と物質量計算
- 16:化学反応式と物質量計算の基本/17:水溶液の性質と濃度/18:酸塩基反応と物質量の計算/19:酸化還元反応と物質量の計算
第4章:化学反応とエネルギー
- 20:熱化学/21:電池/22:電気分解
第5章:物質の状態
- 23:理想気体の状態方程式/24:混合気体/25:実在気体/26:状態変化/27:溶解度/28:希薄溶液の性質/29:コロイド