はじめに

島根大学医学部医学科 匿名希望

今年島根大学医学部に合格した再受験生です。

東京大学卒業後、同大学院修士課程在学中に再受験を決意いたしました。

受験期は、受験勉強を始めた一か月後の夏の河合塾のマーク模試では第一志望の島根大学はB判定、二か月後の河合塾の記述模試ではA判定で、それ以降受けた3つのマーク模試はどれもA判定でした。正直、一部の科目を除いては勉強に関してはさほど苦労らしい苦労がなかったなと思います。大学での学習と違い範囲がきっちり決まっている上に内容は易しく、また勉強方法や参考書が充実しているために、心に常に余裕があったからだと思います。

このように勉強に関しては素地があったので、これから勉強を始める受験生や、一発逆転を狙う受験生の方には勉強法に関しては参考にならない部分もあるかもしれないのでご了承ください。逆に、学力があまり落ちていない再受験生や、十分に実力のある受験生の方には役に立つ情報があると思いますので是非参考にしてください。

1.勉強スタンス

東大合格の秘訣は、人ができないことをできるようになることだと思います。東大は半分取れれば理Ⅰと理Ⅱは受かるような難問ぞろいです。つまり人ができない難問を少しでもできると、それだけで合格にぐっと近づきます。逆に言うと多少穴があっても受かります(私は東大受験生時代古文センター5点、東大リスニングは全く頭に入ってこなかったので、適当に記号書いて英作文書いていたほどです。しかし、数学と理科という得意科目があったためにかなり余裕をもって合格いたしました)。

一方医学部は医学部受験の合格の秘訣は、ライバルたちができる当たり前のことをしっかりできるようになることだと思います。一部の旧帝医と単科医大を除けば標準的な出題が大半を占め、合格最低点が高い場合が多く、人ができる事をできないと一気に不合格が近づきます。

これを踏まえて、私は「多くの人が当たり前にできる事の精度を極限まで高める」ことを目標にしました。

その目標を達成するための勉強の取り組み方ですが、まず「知識、定石、解法の暗記」(基礎力養成期と呼んでいます)をしました。次に「実践演習→分析→補強メニューを考える→補強→実践演習・・・・」の繰り返し(演習期と呼んでいます)です。地道にこのようなサイクルを通して、どんどん知識と基礎技術を定着させ穴を無くしていくことで、上で述べた「多くの人が当たり前にできる事の精度を極限まで高める」ことを目指しました。

2.合格までの軌跡

では時間軸に沿って私の受験時代を振り返りたいと思います。

①準備期 6月

自分は6月の中ごろに受験を決めました。6月は勉強へ移行するための準備期間であったと同時に、情報収集や勉強の計画を立てるなど勉強はほとんどしてない時期でした。

受験校を絞ったのはこの時で、再受験が寛容かどうかの情報、様々な大学の過去問、また様々な予備校での面談で得た情報を検討し、島根大学を選びました。この時学士入学も考えましたが、面接よりも高校の勉強の方が得意であること、また6月からではどこも間に合わないと思ったために一般に絞りました。

②基礎力養成期 7~10月

ここでは基礎の反復を行っていました。穴をなくすように確実な暗記、また基礎的な問題をミスせずに処理する訓練を行っていました。

なお、古文に関しては東大受験時代センター試験で5点しか取れないほど苦手で、また英語は基礎の穴が少なかったために、両者ともこの時期の後半には長文演習を行っていました。

③演習期 11月~センター試験

二次試験よりもセンター試験が自分の課題であると模試の結果と日頃の勉強から気づいたために、二次試験の勉強は少なめで、センター対策中心に行っていました。センター対策はとにかく膨大な演習を積みました。これを行うことで苦手の洗い出しに成功し、得意は伸ばすことができたと思います。

センター5日前はミスが多い分野、苦手な分野を中心にしっかり埋めました。

センター当日ですが、前日に体調を崩し、ほとんど寝られないボロボロの状態でセンターを受験しました。そのせいもあってか、地理でミス多発、小説はほとんど文章を理解できないまま試験が終了するという大惨事が起きましたが、他の科目で失点を食い止め824点(自己採点)という悪くはない成績でしのぐことができました。

島根は失点した国語と社会の配点が高く不利でしたが、オープンキャンパスにも行って過去問も解いていたので、初志貫徹で島根に出願いたしました。

④二次直前演習期 センター後~二次試験

個別対策は後回しだったためにかなりあわただしかったです。最初の15日で今までの総復習し、次の20日で膨大な量の演習をこなし、最後の5日でミスしやすい場所と苦手な分野の訓練を行いました。

一日目の二次試験当日は、ホテル(ニューウェルシティ出雲)が素晴らしかったために体調はまずまずで、落ち着いて受けられました。二日目の面接は手ごたえがあまりなかったために、合格発表までは受かっているか落ちているかわからないまま引越し準備や物件探しをして過ごしておりました。(余談ですが、島根大学の書類関係は他大学と比較して非常に煩雑ですので、時間に余裕をもって処理しましょう。)