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合格体験記 東京大学教養学部理科一類 太田智樹君③

最後のページになります。ここでは、受験生活を通して精神面の苦労とその周辺について書きます。「勉強」ではなく「精神」の視点から受験勉強全般を見据えて、私の体験談も交えながらお話しできたらと思います。

まずは、効果的なリラックス方法について述べさせていただきます。私自身、大学1年次より今に至るまで予備校のチューターを務めさせていただいており、様々な生徒から相談を受けていますが、その際に頻繁に承る質問の一つでもあります。「自分ではリラックスしているつもりでも全然疲れがとれない」「休み始めるととことん休んでしまう」…。そもそも人間の身体は、座って勉強し続けることができるように設計されていません。それを認めれば、勉強には必ず休息を要するものだとわかるでしょうし、しっかりと休息がとれなければ勉強にも支障が出ることもわかるでしょう。しかし、あまりに休み過ぎても勉強する時間が減ってしまう一方で、結局はうまい均衡が求められるわけです。

普遍的なリラックス方法としては「散歩」と「昼寝」が群を抜いてツートップに掲げられるでしょう。これは誰にでも効果が高いと思われますが、各々注意が必要です。

まず「散歩」ですが、とにかく何も考えずに散歩しましょう。時間は30分が最も効果的です。散歩は、落ち着きや心の平安を取り戻してくれるだけではありません。足で地面を踏みながら歩くという無意識な行為にこそ意味があり、足に規則的にかかる刺激が脳に伝わり記憶の定着を手助けしてくれるという科学的な裏付けまで付いています。また、数少ない運動の機会も兼ねられますし、一石三鳥ですね!

続いて「昼寝」ですが、寝る場所はベッドではなく椅子にしましょう。そして、寝る時間としては10~25分が最も効果的です。ベッドで寝てしまうとどうしても長時間ぐっすり眠ってしまいます。起きた時には睡眠を後悔するでしょう。また、自分が思っているより長く寝てしまって、起きた時に頭痛を感じたことはありませんか?そうなってしまうと勉強に集中できません。

余談ですが、私自身が独自に実践していた(というより今も実践している)リラックス方法は、上記2つに加え、「音楽」と「動画」と「コーヒー」です。もちろんこれだけではあまりに説明不足なので以下で説明いたします。

まず「音楽」です。噛み砕けば「楽曲を一つのプレイリストにまとめた上で何も考えず芸術を鑑賞する純粋な心持ちでひたすら聴く」ということです。私は二種類のプレイリストを作成しました。一つは、単純に疲労を癒してくれそうな楽曲をまとめたプレイリストです。私の場合、群を抜いて大好きなアーティストであるスピッツの楽曲が殆どを占めています。もう一つは、挫折を感じたり精神的に追い詰められたりやる気をなくしたりした時に、元気をくれそうな・励ましてくれそうな楽曲をまとめたプレイリストです。Mr.Childrenの「終わりなき旅」を筆頭に30曲ほどをまとめ、常にランダム再生していました。三度の飯より音楽が大好きな私だからこそ適用できたリラックス方法なのかもしれません。音楽が好きな方は是非!

続いて「動画」です。こちらは「音楽」に非常に近いところがあります。端的に言うと「元気をくれそうな・励ましてくれそうな動画をひたすら見続ける」ことに尽きました。「名言を集めた動画」「つらく暗い過去を送りながらも結果的に成功を収めたタレントの話を扱った動画」などなど…。こちらも是非お勧めします!

最後に「コーヒー」です。落ち着きたい時には大好きなコーヒーを愛飲しています。大好きな飲み物があるといいかもしれませんね!

続いて、自分が受験生の時に頻繁に感じた心の叫びを自問自答形式でひたすら書き連ねてみようと思います。これは私が実際に感じたものです。

「今24時だけど、まだまだ勉強が足りない気がして眠れないよ…!」
―そんなこと考えないで即刻寝ましょう。
自分に必要な睡眠時間(私は6時間です。)をしっかりとれる朝型の生活スタイルを維持しましょう。生活スタイルは思っている以上に大切です。朝から問題無く頭を働かせられるかどうかが本番で問われるわけですから。そもそも、勉強は夜の早い時間帯(21~23時)に打ち切り、それ以降は勉強を忘れてゆっくり休む時間にした方が、メリハリもつきますし思い切りリラックスできます。
「今までの自分の勉強は間違っていたんだろうか。」
―今更過去を嘆いたところで過去は戻ってきません。
時は不可逆です。今から自分を変えていくのです。現在の自分の位置を確認し、未来を見据え、ひたすら努力するのです。
「こんなに苦しむくらいならもう受験勉強やめたい…。」
―殆どの受験生はみんなそう思っていますよ。
しかも、あなた以上に苦しんでいる人など日本の中でもたくさんいます。どんなに貧しくても、どんなに貶されても、どんなに才能が無くても、大きくなってから大成功を収める例などありふれています。あなたの苦しみは、既に他の誰かが経験している苦しみであり、解決法は既に見つかっています。もし見つからなかったとしてもヒントは必ず見つかります。
「周りの友人が余裕を見せていて自分が情けなくなる…。」
―余裕を見せることっていいことでしょうか。
少なくとも受験生活においてはプラスに働きません。本試では少し余裕を見せた方がいいとは思いますが、普段からそうしていても時間の無駄です。様々な受験生を見てきましたが、大して成績に余裕があるわけでもないのに、どういうわけか過信して変に余裕をかましている人は、殆ど不合格でした。私はそんな周りを気にせず、A判定を出し続けても、少しは余裕を持ちながらも全く油断せず、コンスタントに勉強を続けました。

いかがでしたでしょうか?極力私にしかできないアドバイスを中心にお話しさせていただいたつもりですが、この長々書き連ねた文章を読んで得るところが少しでもあれば、筆者としてこの上なく嬉しい次第です。最後に、受験を間近に控えた受験生を含め、いずれ大学受験というあまりにも大きなフェイズを乗り越えなければいけないすべての人達に対するメッセージを記して、私のコラムを締めくくることとします。また少し長いですが、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

大学受験の意味って何なのだろう。なぜ勉強しているのだろう。勉強に行き詰まるとどうしても考えてしまうよね。大学生の私でもふと考えてしまう。でもね、意味なんてまだ分からないんだよね。正直、大学生になっても勉強の意味なんてちっとも分からない。だから、いつか意味を持つと信じて勉強し続けるしかない。時々止まってみることも大切だが、ずっと止まっていては何も始まらない。とにかく前へ進むことが大事だ。そのような意味で人間は「自転車」に喩えられるだろう。みんな「自転車」になろう。

受験生の皆さんには第一志望の大学に合格することを願ってやまないのは至極当然だが、現実は厳しくて、どの大学にも定員が設けられていて、不合格になってしまう人の方が圧倒的に多い。日本の大学入試では合格不合格は全て「点数」で決まる。残酷な世界だ。人格や個性は考慮されない。むしろ人格や個性を顕わにすれば点数は下がる。できるだけ人格や個性を前面に出さないことが高得点の秘訣だ。大学入試や高等教育の現行制度に異議を唱えたくなるかもしれないが、対抗するには私達はあまりにも無能で無力だ。だから、今は現行方式に従順になるべきだろう。今は従順に勉強を積み重ね、受験戦略を緻密に練るしかない。そのような意味も含めて、大学受験は人生の初期段階に立ちはだかる最も大きな壁だろう。ただ、その壁を乗り越えるための効率的なルートはしっかり探索されている。あちこち寄り道している時間は無いし、まずはそのルートに従うべきだろう。しかし、途中でルートが見えなくなってしまうこともある。そこは精神的に飛躍しなければいけない段階だ。精神的な面でのアドバイスはこの世に多くありふれていて、是非とも参考にすべきだが、結局は自分自身の問題だ。頭では分かっていてもそれを実際に行動に移さなければ何の意味もない。そこにこそ大きな意味がある。

大学受験は知識的飛躍と精神的飛躍の二面性を兼ね備えていると私は思う。前者は言うまでもないだろう。忘れてはいけないのは後者である。私としては、大学受験は前者よりも後者にこそ意味があると考える。大学受験を無事乗り越えて、知識面でも精神面でもたくましく成長した君達の姿を心から楽しみにしている。日々是決戦、がんばれ!

 

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