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藤田保健衛生大学 一般入試 物理

藤田保健衛生大学の理科は二科目合わせて120分。単純計算で一科目あたり60分の計算である。

問題形式について

まず大問について。
2008~2011年度までの4年間はどれも大問数が5問だったが、2012年度には4問となっていた。

2010年度の第1問だけが文章の穴埋め式となっていたが、他の問題については問1、問2、・・・という形式となっていた。
2013年度に再び穴埋め式が出る可能性は低いと思う。
大問1問あたりの小問数は、少ないもので2問、多いもので8問と幅広かった。

以下に各大問あたりの小問数の表と、小問数と出題回数の表を示す。

年度 2012 2011 2010 2009 2008
小問数 第1問 7 3   3 5
第2問 8 4 4 2 5
第3問 4 3 4 4 3
第4問 5 3 7 2 4
第5問   8 4 7 3
合計 24 21 19 18 20
平均 6 4.2 4.75 3.6 4
小問数 2 3 4 5 6 7 8
回数 2 6 7 3 0 3 2

上の表から、最も多いのは問1から問3ないし4まである大問である事がわかる。
また、5年間で合計で出題された小問は102問である事から、平均して大問1問あたり4.4問である事がわかる。

また、出題される小問の合計の数は、年々増加傾向にある。特に2012年度は、大問数が減っているにも関わらず小問の数はここ5年間で最も多くなっている。
2012年度は大問数が少ないかわりに小問数も多く、また内容も難しかったため、例年と比べて苦しむ受験生が多かったと思う。よって次の年度でここから更に問題数が多くなる可能性は低いだろうと思う。

理科が120分である事から、当然60分以内に解き終わりたい所である。
すると、大問が4問なら1問あたり15分、5問なら1問あたり12分で解く、という事になる。小問一問あたりで言えば、大体一問2~3分である。もちろん小問毎に難易度にばらつきはあるので、簡単な物は1分以内に解いて、余剰分の時間を難しい問題にかけたい。

出題範囲について

以下に、年度・問題別の出題範囲の表を示す。

  第1問 第2問 第3問
2012年度 力学
水平投射
衝突
電磁気 電磁誘導 熱力学 定積・定圧変化
2011年度 電磁気 電荷と磁場
摩擦
波動 光波
運動量と力積
力学 モーメント
静止摩擦
2010年度 力学 等加速度運動
単振動
浮力
熱力学 熱機関 波動 くさび型ガラス
光の干渉
2009年度 力学 斜面での摩擦
動滑車
力学 モーメント 熱力学 熱機関
2008年度 力学 摩擦
等加速度運動
力学 モーメント 波動 ドップラー効果
  第4問 第5問
2012年度 力学
二物体の運動
摩擦
   
2011年度 熱力学 気体分子運動論 力学 2物体の相対運動
2010年度 力学 二物体の衝突 電磁気 コンデンサー(ミクロ)
誘電体
2009年度 波動 開管・閉管の共鳴 電磁気 コンデンサー(回路)
2008年度 熱力学 等温変化 電磁気 内部抵抗
抵抗を含む回路

この表を見ると、大問数が5問であった2011年度までは順番の差はあれ、どの年度も力学から2問、熱力学と波動と電磁気から1問ずつで構成されている事がわかる。2010年度までは第1問が力学で第5問が電磁気という形式で一貫していたが、2011年度からはそれも崩れ、規則性の見えないバラバラな順番になっているように思われる。

大問数が4問となった2012年度は、力学2問、電磁気と熱力学が1問ずつと、それまでからちょうど波動だけを抜いたような構成になっている。なので、2013年度がまた大問数4問であるならば波動の問題をいれてくるのではないかと思う。その場合、電磁気を1問も出さないという例は見た事がないので、力学を1問にするか熱力学を削るかをしてくるのではないかと推測される。

問題について

まず、全体を通した雑感について。

特に力学の分野でだが、どの分野もあまり問題集では見ない、最初問題を見たとき「なんだこれ?」と思ってしまうような題材の問題の割合が高かったと思う。しかしその実取り組んでしまえば内容は意外と単純で、教科書に載っている事をある程度きちんと理解してしまえば難なく解けてしまうものも多かった。

また、例えば2010年度の第3問の問題文の「屈折率が小さい物質から大きい物質に入射して反射される場合、光の位相はπずれる」という文のように、他の大学ならば普通書いてないサービスのような物を書いている場合もあり、そういった物があって初めて受験生が手を出せるような問題もあった。題材の事も含めて、知っているか知らないかよりもその場で考える力の方が求められているのかな、と感じた。 なので、問題集を手当たり次第にやって、解法を半ば暗記するというようなやり方をしてきた受験生ではなかなか合格点を取るのは厳しいのではないかと思う。

次に、各年度について書いていこうと思う。

2012年度

全体

上にも書いたが、2011年度までよりも大問数が1問減って4問になっていた。その代わり各問題の小問数は増えていたし、1問1問がそれまでの年度よりも明らかに重かった。難化したと言ってもいいと思う。

第2問と第4問をしっかりと8割9割取って、第1問と第3問は解ける所まで精一杯やって合格点を取るといった所だと思う。

第1問 力学 水平投射・衝突

難易度はやや高め。問7のレベルが少し高いので、完答は難しいと思う。

問1、問2は何の事はない水平投射の問題である。ここまではただ質点aが運動するだけだが、問3以降でbも絡んでくる。速度がv/2である事(別のvと全然関係無い文字ではない事)から、どこかで問1,2も出てくるだろうな、と気構えをしてここから先に取り組むといいだろう。

問7ではまず問1と問5の時間の比が1:2.5という式がたつが、問1の時間も問5の時間もeとgとhの式なのでここからではeしか求まらない。ここでeを求めたので、何かmとMとeを含む等式が無いかな、と探すといいだろう。

問6まではしっかりとりたいところである。

第2問 電磁気 電磁誘導

難易度は普通。小問は多いもののそれは誘導がしっかりしているという事でもあるので、難しさという面では完答するのは難しくないだろう。しかし、この問題を15分で解こうとなると平均して小問1問に2分はかけられないので、物理が少し苦手な人だと厳しいかもしれない。

第3問 熱力学 定積・定圧変化

難易度はやや高め。容器内に気体が入ったり水が入ったりする、設定が少し鬱陶しい設問である。しかも恐ろしいのは、問1が解けなかった場合おそらく問2も解けなく、そうなるとそれ以降の問にも手がつけられなくなるという事である。こういった問題できちんとピストンでの力の釣り合いを考えられるという事には訓練が必要だと思う。

もし問1も問2も解けなかった場合でも、問3は少しは手がつけられるかもしれない。というのは、問3はQ=(3/2)R(T1-T0)に問2のT1を代入して答えを出す、という問題なので当然きちんとした答えは問2が解けていないと出ないが、あとは代入するだけなのでせめて(3/2)R(T1-T0)くらい書いておけば試験管は「この子はこの問題は理解しているが、問2が解けなかったせいで答えが出なかっただけだ」と部分点くらいはくれるかもしれないからである。そこは本当に貰えるかどうかわからないが、1点でももぎとるためにこういった悪あがきをしてもいいと思う。

問1、2をクリアした場合、残りは割と難無くいけるのではないかと思う。この問題の分かれ目は最初ではないだろうか。

第4問 力学 二物体の運動 摩擦

難易度は普通。この年度は問題数が減り1問1問の難易度が上がったので、この問題はしっかり取りたい所である。

これに似たような問題は、問題集でもしばしば見かける事があるのではないかと思う。問1~5についても似たようなもので、問5が少しレアかなと思うくらいである。加速度を持った物体について力の釣り合いやらを考える時には慣性力を考えなくてはならないんだ、という事を押さえておけばさくさくと進んでいくのではないかと思う。

2011年度

全体

全体的な難易度は例年(2010年度まで)通りだと思う。全体の雑感でも書いたが、見た事の無い設定だったり色々な範囲の組み合わせだったりする問題が多いので、初めて見る問題への耐性も養っておくべきである。第1問、第2問、第3問、でとれるだけとって、残りの時間で第5問、第4問と取り組むのがいいのではないかと思う。

第1問 電磁気 電荷と磁場 摩擦

難易度はやや低め。しかしまず電荷が摩擦を持つ、という設定は見た事が無いだろう。が、この問題に関して言えば摩擦が働いている範囲では磁場は無い上に、摩擦係数μも与えられておらず、ただ熱がEだけ発生した、つまり摩擦のある場所に入る直前に電荷がEというエネルギーを持っていた、と言っているだけなので、実際摩擦がどうのという事はあまり関係無いのである。

これに気付けば、あとはただの電荷と磁場の問題である。電荷が速度を持って磁場中に入った場合ある力のローレンツ力を受けるが、これは常に速度に垂直に働くので、磁場は電荷に対して仕事をしないつまりローレンツ力によって電荷の速度は変わらない、という事がわかっていれば全て解けるだろう。

しかもこの問題は問1~3が独立している、つまりどれかがわからなくてもそれが他の問に影響するという事が無い。解ける物に手を出していこう。

第2問 波動 光波 運動量と力積

難易度は普通。全て選択肢式で、計算して値を求める事が全く無い問題である。後半の問3、4のように光波が持つ運動量について考察する、という事は普段全く無く、イメージし辛いかもしれない。しかし、問3の問題文には「光もその進行方向に運動量を持つ」、問4の問題分には「運動量と力積の関係を考慮して」というとても丁寧な説明がついているので、これらの答えを出す事自体はそう難しい事ではないだろう。全て正解したい。

第3問 力学 モーメント 静止摩擦

難易度はやや低い。これはしばしば見かける問題だと思う。図が与えられていないので、図さえ書けばあとは特につまる所は無く解けるだろう。これも全て正解したい。

第4問 熱力学 気体分子運動論

難易度は高め。問1、2は比較的単純に解ける(問1は運動量と力積の関係、問2は等加速度運動)が、難易度が問3でぐっと上がり、問1、2は解けるが問3は解けないという受験生が大半なのではないかと思う。問3は捨てて、問1、2をそう時間もかけずしっかり取るのがこの問題の最善策だと思う。

第5問 力学 2物体の相対運動

難易度は普通。よくある相対運動の問題で、運動量保存則、エネルギー保存則を使えばそうつまる事無く10分程で解けてしまうだろう。水平方向の運動量が保存する事から、重心の速度の水平方向成分が一定である事を用いれば、もっと簡単に解く事ができる。

2010年度

全体

全体的には易しめ。この年度の問題には、この大学の特徴の一風変わった題材といった問題がほとんど無く、典型的なものばかりである。しかし、第1問がここ5年間では唯一の穴埋め式である。といっても穴埋めの方が記述よりも比較的簡単に解ける場合が多いので、特に警戒する必要は無いだろう。

また、他の問題にも特別難しいといったものは含まれていないので、自分が解ける所にとにかく手を出していく事が大事だと思う。

第1問 力学 等加速度運動 単振動 浮力

難易度は普通。物体が浮力で浮き上がり、液体の水面よりも上に出た後の運動まで考えさせている辺りは、問題のレベルとしては高い方だと思う。この問題が他の大問のように小問に分かれている形式だったなら、多くの受験生が苦しむだろう。ただ穴埋め式で、文章の誘導がかなりしっかりしているため、流れに忠実に乗っていけば最後までいけてしまう問題だと思う。ただ時間という観点から言って、どこかで詰まると最後まで解ききるのは少し難しいかもしれない。第1問で時間を使い過ぎないよう注意して取り組み、他の問題を解ききってなお時間が余ったら手を出すという作戦がいいかもしれない。

第2問 熱力学 熱機関

難易度はやや低め。熱力学の分野ではおなじみの範囲だろう。小問も、どれも頻出のものばかりである。問3の問題文に与えられている仕事の式については、実は与えられなくても計算で出す事ができるが、数Ⅲの積分が必要になるのでここでは与えて問題を解かせている。

第3問 波動 くさび型ガラス1 光の干渉

難易度は普通。このくさび型ガラスもしばしば問題設定に使われる題材である。後半の隙間を物質で満たすのはあまり見ないかもしれないが、かといって難易度がそう上がる訳でも無い上に問題文に「屈折率が小さい物質から大きい物質に入射して反射される場合、光の位相はπずれる」と通常であれば書いてない文も書いてあるので、解くのが難しい問題ではないと思う。

第4問 力学 二物体の衝突

難易度は普通。はね返り係数を含む衝突の問題。問題にも図は与えられているが、勘違いをして勿体無いミスをする恐れがあるので衝突一回一回きちんと自分で図を書くとよいだろう。問7は物理の問題には珍しい形式の問題だが、問6までに2回目、3回目の衝突が起こる位置のx座標は求めているはずなので、(a)や(b)はすぐに間違いである事がわかる。
残りの十分に時間が経過した後については、1回目の衝突から3回目の衝突までを考えて規則性を見出そう。

第5問 電磁気 コンデンサー(ミクロ) 誘電体

難易度は普通。コンデンサーに誘電体を差し込んでいくと電気容量はどうなるか、という事を考察した問題。問3までは教科書の練習問題でも見るような設問だが、そこから発展させていくとどうなるか、を考えさせる問題が問4に入っている。これをnのまま考えるのはイメージも計算もし辛くやりにくいかもしれない。そこで、問3まででは誘電体は2種類までしか計算していないので、3種類か4種類くらいまでやってみると何か規則性が見えてきて答えへの糸口が見えるかもしれないので、こういった所に目をつけるといいと思う。

2009年度

全体

全体的な難易度は例年より少し高いと思う。特に第5問を完璧に解ける受験生は少ないだろうと思うので、第1問から第4問である程度とってから第5問の解ける部分に手をつけて残りを稼いでいくと思って取り組んだ方がいいだろう。

第1問 力学 斜面での摩擦 動滑車

難易度は普通。斜面での摩擦と動滑車を組み合わせた問題。このどちらも頻出の分野で、ただそれを繋ぎ合わせただけなので、完答自体はそう難しくないだろう。

第2問 力学 モーメント

難易度は普通。題材が珍しく、とっつきにくい受験生も多いと思うが、やってみれば意外と何のことはない問題で、数分ですんなり解けてしまったりする問題である。この問題は全て取りたい。

第3問 熱力学 熱機関

難易度はやや高い。問1、2はともかく、問3、4が少し曲者だと思っている。というのは、これは自分が解いた時にも迷った事だが、この問題における水は、蒸発する時にピストンを押し上げている。ピストンには外側から大気圧がかかっているのだから、それと逆向きに同じ大きさで中から気体の圧力もかかっている。つまり、水蒸気がピストンを押し上げる時、水蒸気はピストンに対して仕事をしている、という事である。ここで問題になる事は、水の蒸発熱が2.26×103×90Jとなる事は容易にわかる事だと思うが、この値が外部への仕事も含んでいるのか、という事である。問4はQ=ΔU+Wという公式に問3の熱量Qと仕事Wを代入して解くのだから、外部への仕事を含むか含まないかで問3も問4も答えが違ってしまう。答えは含む方が正解となるのだが、ここを勘違いしてしまうと痛いと思う。

第4問 波動 開管・閉管の共鳴

難易度は低い。小問が2問しか無く、また1問1問の重さも正直ほとんど無いため、わかる人がやれば本当に1、2分でできてしまうような問題である。これはきちんと間違えずにとる事は前提で、いかに早く片付けるかが勝負になってくると思う。

第5問 電磁気 コンデンサー(回路)

難易度はやや高め。小問数が多く、時間がかかる問題である。とにかくコンデンサーを含む回路の問題では、
(1) コンデンサーの基本式 Q=CV
(2) キルヒホッフの法則
(3) 電荷保存則
の3つの式を活用していこう。(今回は(3)を使う事は無いが)
特に問5からの難易度が一段階上がり、ここから先を全て時間内に解ける受験生は少ないだろうと思う。早めに見切りをつけて捨てるのも1つの手だと思う。

2008年度

全体

全体的な難易度は例年通り。例年程大問ごとの難易度にばらつきは無いが、第4問の問3が少し難しいので、ここで時間を使い過ぎずにぱっと後回しにして簡単な第5問を取りに行けるか、という事と問題分をきちんと最後まで読んで問4は確実に取る事ができるか、という事が勝負のカギになると思う。

第1問 力学 摩擦 等加速度運動

難易度はやや易しめ。斜面での摩擦や、エネルギー保存則など基本がわかってさえいれば良い所まで解ける問題だと思う。

第2問 力学 モーメント

難易度は普通。問1、問2は基本の問題だが、問3をきちんと計算で出そうとして詰まってしまうという事が起こってしまうかもしれない。解答は計算でやっているが、xが限りなく0に近い(つまり物体がPに限りなく近い)状態にして吊り下げて荷物の重さを増やしていったら先にPが外れる事は大体予想がつくのではないだろうか。といっても本番で直感に頼るのは不安かもしれないので計算で出したい、という思いもあるだろうから、あくまで最初に直感で「多分Pだろうな」と思っておいて、計算でそれを確かめるというのがベストだと思う。どちらにせよ問3が解けないと問4も解けないので、何らかの方法でPという答えは導き出しておきたい。

第3問 波動 ドップラー効果

難易度は普通。ドップラー効果の分野でよく間違える事柄として音源または観測者の速度を分母か分子のどちらにいれるのか、という事が挙げられるが、今回は丁寧にも問題分中にそれが書かれているので、その部分で間違える事は無いだろう。この問題のポイントは、反射板を一度は移動しながら音波を観測する観測者として、また一度は移動しながら音波を出す音源として数えなくてはならないという事だと思う。ここさえクリアすればあとは難無く全て解けるだろう。

第4問 熱力学 等温変化

難易度はやや高め。問3が記述式である上にレベルが他と比べて高く、これを解ける受験生はおそらくほとんどいないだろうと思う。しかし、問3が解けなくても問4は解けるので、この問題は問1、問2、問4を取ってもし時間が余ったら問3にも多少手を出す、といった所だろうか。

第5問 電磁気 内部抵抗 抵抗を含む回路

難易度は易しめ。内部抵抗を含む電源を用いて考察する問題だが、あまり深い所までは求められていなく、キルヒホッフの法則でほとんど解けてしまう。この問題は7分~10分くらいで片付けたい問題である。

 

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