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愛知医科大学 一般入試 物理

愛知医科大学の理科は二科目合わせて120分。単純計算で一科目あたり60分の計算である。

問題形式について

まず大問について。 大問数はどの年度も3問である。1問あたり20分の計算となるので、これを念頭においた上で問題に取り組みたいと思う。

次に小問について。 まず大問がおおまかに問1~問3などに分かれ、それぞれの問の中に(1)~(3)など細かく分かれている。さらにその中でも(a)~(c)と分かれている問題もあり、多いとかなりの数になっていて、20分で解くのも厳しいだろうと思ってしまう物もある。 2011年度の第3問だけが最初から最後まで文章の穴埋め式となっているが、2012年度にその形式の問題は出ていないのでそう警戒する必要は無いだろうと思う。

次に各大問あたりの小問数の表を示す。

年度 2012 2011 2010 2009 2008
小問数 第1問 12 13 8 10 9
第2問 12 9 11 7 9
第3問 12   9 9 11
合計 36 22 28 26 29
平均 12 11 9.3 8.7 9.7

これを見ると、大問あたりの平均小問数は年々増加傾向にある事がわかる。 2012年度を見るとどの大問も小問は12問で、大問1問あたり20分で計算すると小問1問あたり2分はかけられない事がわかる。しかし、たった2分では解くのが明らかに厳しい問題も多い。一方計算が全く無く、わかれば即答できるような問題も数多く混じっているので、そういった問題を15秒~30秒程度で片付けてどんどん時間を作って難しい計算問題にまわしていくといいと思う。

また、2011年度第3問の穴埋めの問題の穴の数は全部で14個だった。これも穴1個あたり2分はかけられないので、てきぱきとやっていこう。

出題範囲について

以下に、年度・問題別の出題範囲の表を示す。

  第1問 第2問 第3問
2012年度 力学
モーメント
摩擦
浮力
波動 回折格子 電磁気 電荷と地場
らせん運動
2011年度 力学
ばねの単振動
等速円運動
波動 ドップラー効果 電磁気 電流計・電圧計
2010年度 力学 衝突
摩擦
波動 開管・閉管 電磁気 磁場中の導体棒
2009年度 力学 斜面での運動
2物体の運動
波動 光波の干渉 電磁気 電荷による電場
電位
2008年度 力学 2物体の運動
水平投射
摩擦
波動 異なる媒質中の音波
ドップラー効果
光波
電磁気 コンデンサーを含む回路

この表から明らかにわかる事だが、どの年度も一貫して第1問は力学、第2問は波動、第3問は電磁気の問題という構成になっている。これはおそらく2013年度も崩れないだろう。つまり、もちろん断言はできないが、熱力学の分野の問題(気体の等温・定圧・定積・断熱変化、気体分子運動論、熱機関など)を主として取り扱う問題はほぼ出ないと言っていいという事になると思う。

一方、出る3つの分野についての話もしておく。

まず力学について。
そもそも力学という分野の中にも単振動や衝突、モーメントなど細かく分かれた分野があり、どの大学でも大体力学の問題はその中の一つだけについてではなく、いくつかを絡めて出題するだろう。この愛知医科大学は特にその傾向が顕著で、2012年度の第1問などがそのいい例だと思う。なので、もし力学のある分野に致命的な穴があるとそこを突かれてしまい力学でかなり落としてしまう可能性が高い。対策はしっかりしておこう。

次に波動について。
波動は力学と違ってある程度パターンが決まっていて、また別の分野同士(例えばヤングの実験とドップラー効果など)を絡ませて出題するという事が難しいので、設定自体はある程度オーソドックスである場合が多い。大体どの問題も教科書の例題をやっておけば最初の辺りはとれるだろう。しかしその後の様々な操作によって問題のレベルがぐっと上がっているものも多いので、元々カバーしなければならない分野の数が少ない分深い理解が求められるだろう。

最後に電磁気について。
2008年度から2012年度までの5年間のうち、2011年度と2008年度は回路の問題が出ているが、残りの3年は電荷・導体棒を取り扱った問題である。なぜこのように分類したかというと、後者の3問は電荷や導体棒に働く力(重力、ローレンツ力、クーロン力など)や力学的エネルギーを考えさせる問題で、題材としては電磁気の問題でありながら力学の色がかなり濃い問題だからである。つまり力学が苦手、といった人はこれらの問題も解けない場合が多い。また前者の回路の問題の2問は、どちらも問題のレベルが他の3問と比べても高い。つまりこの電磁気の問題を解く上で必要な対策は、力学(とクーロンの法則などの公式)と回路の問題に対する対策だと思う。

問題について

まず全体を通した雑感について。

まず問題設定自体は、よく見るものである場合が多い。それに加えて上にも書いた事だが、毎年出る分野がきっちり決まっているので、狙われる問題のパターンは他の大学に比べて明らかに少ないと思う。

しかしその一方で、それらのいわゆる頻出の問題をそのまま出してくるわけではなく、ひと捻りふた捻り加えて、それによって問題のレベルが元々のそれよりもかなり上がっているものが多い。全て解こうと思ったら、かなりの思考力、理解力とともに問題を解く速度も求められると思う。この問題は全て取る事よりも、適切に問題を選択して何とか合格点すれすれか少し上くらいを取れるようにしていくという作戦が多くの受験生に当てはまると思う。ぱっと見てその問題が難しいとか、計算に時間がかかるなとかを見抜けるように訓練しておくべきである。

次に、各年度について書いていこうと思う。

2012年度

全体

全体的な難易度関しては、例念通りであると思う。ただし、第1問が明らかに難しく、大問ごとの難易度にはかなりばらつきがある。前から生真面目にやっていたら間違いなく合格点はとれないと思うので、第1問が難しい事を即座に見抜いて第2問第3問を確実に取る事を優先しよう。

第1問 力学 モーメント 摩擦 浮力

難易度は高い。問1はまだ普通だが、問2でいきなりぐっとレベルが上がる。問3は更に設定が面倒になる。こういったモーメントを考えさせる問題で浮力を取り扱うなど普通まず無いであろう。1問目でそれほど時間を使うわけにもいかない事も相まって、問2で早くもお手上げという人が多いだろうと思う。問1だけやって問2以降は後回しにしよう。

第2問 波動 回折格子

難易度は普通。この問題もガラス板を入れるなど後半で設定が変わっていくが、第1問程問題が様変わりはしない、つまりやる事は同じなので、回折格子についての基礎ができていればあとは時間の問題になると思う。20分で仕上げる事を目標にやろう。

第3問 電磁気 電荷と磁場 らせん運動

難易度はやや低め。問1の等速円運動、問2のらせん運動は電磁気をある程度やっていれば必ず1度は目にしているだろう。その上、問2の(5)(6)は気付けば即答の問題なので、第3問に関しては10分~15分で完璧に解ききりたい所である。ここに20分かけてしまう内は、おそらく合格点には届かないだろう。

2011年度

全体

全体的な難易度はやや高め。ここ5年間で唯一の穴埋め式の問題を第3問に含む年度である。第1問、第2問は比較的難易度は低いが、第3問が難しく、特に比較的初めの方の(1)が厳しいので、第3問はほとんど得点源にできないかもしれない。合格最低点より少し上、7割くらいを取りたいのであれば、第1問第2問は確実に全て取って、第3問は(1)の前くらいまでやればおそらく7割はぎりぎり越えるだろうと思う。この年度はそれほど差のつく問題ではないと思う。

第1問 力学 ばねの単振動 等速円運動

難易度は高い。問1はまだ普通だが、問2でいきなりぐっとレベルが上がる。問3は更に設定が面倒になる。こういったモーメントを考えさせる問題で浮力を取り扱うなど普通まず無いであろう。1問目でそれほど時間を使うわけにもいかない事も相まって、問2で早くもお手上げという人が多いだろうと思う。問1だけやって問2以降は後回しにしよう。

第2問 波動 ドップラー効果

難易度はやや低め。これもよく見る、典型的な問題だと思う。さらにドップラー効果の問題とは言うものの、実際にその公式を使って解く問題はほとんど無く、計算量としてもかなり少ない問題だと思う。これも20分以上かかると後が厳しいと思う。

第3問 電磁気 電流計 電圧計

難易度はやや高め。ここ5年間で唯一の、文章穴埋め式の問題である。電流計、電圧計の内部抵抗と、測定可能な最大値を考慮に入れた上で考察していく問題である。題材としても珍しい方だが、難易度の上でもこの年度では他の2問と比べて群を抜いて難しいだろう。とくに(1)が鬼門で、ここを解ける実力があればこの後はほぼ解けるだろうが、ここが解けないと先には進めないという構成になっている。(1)は適切な回路を答えさせる問題だが、まず電流計、電圧計の繋ぎ方から2つに絞った後、それぞれの回路についてきちんと計算と考察をして答えを出さなければならない。ここで多くの受験生がふるいにかけられるだろう。これが解けないにしても、(1)までは絶対にとりたい。

2010年度

全体

全体的な難易度は例年通り。大問ごとにそう難易度にばらつきは無いので、どれも解ける所をとにかくやって合格点が取れるか取れないか、という所だと思う。この年度に関しては、あまり作戦による点数の差は出てこないと思う。

第1問 力学 衝突 摩擦

難易度は普通。自分の解いた感想では、設定があまり見た事が無く最初に問題を見た時は面倒くさそうな問題だなと思ったが、取り組んでみると意外と思ったよりは単純に解けた、といった感想だった。確かに最後の方の問3(3)なども単発で出されたら少し難しい問題かもしれないが、誘導がしっかりしているのでかなりスムーズに進む事ができると思う。これは20分で全て解く事を目標にしたい。

第2問 波動 開管・閉管

難易度は普通。センター試験でもよく扱われる分野の問題である。ただセンター試験では、音速が温度によって変化する事を使って考えさせるものはおそらく無いと思う。あとは、問2以降のいくつもの管を同時に考察するという問題が珍しく、少しイメージし辛いかもしれない。しかし管の長さは決まっているので、難易度が特別高い、という事は無いと思う。

第3問 電磁気 磁場中の導体棒

難易度は普通。磁場中を動く導体棒に働く力を考察させる問題。電磁気の範囲とは言うものの、求めさせる値は力の大きさ、仕事率、質量、速さ、熱量と、力学の色がかなり濃い問題だと思う。力学の、斜面を動く物体についての問題にかなり近い所がある。力学がある程度できる人であれば、問1問2をクリアすればあとは難無くいけるだろう。

2009年度

全体

全体的な難易度は例年通り。第1問、第3問は基本の組み合わせにすぎないので、これらの2問をてきぱきと解けるかどうかで第2問の出来に差が出てくると思う。

第1問 力学 斜面での運動 2物体の運動

難易度は普通。物体が斜面上で分裂し、その分裂の瞬間とその後の運動について考察させる問題。分裂後の2つの物体の運動をそれぞれ個別に一つ一つ考えれば全て解けるが、そうすると計算量が少し多い。もちろんそうしなければならない部分もあるが、この問題で重要な所は、そもそも分裂というものが外から力を加えて起きるものではないという事から、2つの物体の重心は分裂しなかった場合のような運動を続ける、という事である。これに気付けば、例えば問9の位置エネルギーの和は重心の位置エネルギーといったように、2つを個々に計算しなくても答えは出る。ただし一つ注意すべき点は、問10の力学的エネルギーの和は重心の力学的エネルギーとは異なるという事である。これは、物体の衝突の分野で2物体が衝突してそのまま合体した時にエネルギーが減少する(その分が熱や音のエネルギーになる)事をふまえれば、その逆が起きているという事なので説明ができる。

第2問 波動 光波の干渉

難易度はやや高い。2枚の鏡による光の干渉の問題。問題設定が珍しく、かなりとっつきにくい問題だと思う。後半でやっている事は光路差を考察するなどヤングの実験の機構に近い所があると思うが、設定が全く違うだけにきちんと考察していかねればならない。そもそもよくあるヤングの実験の問題でも、何度も解いてもう覚えてしまったという人が多いのではないだろうか。あの問題をきちんと考察して解く事ができる人は今回の問題でもいい所まではいけるだろうし、逆に覚えて解いている人はほとんど手を出す事ができないだろう。

第3問 電磁気 電荷による電場 電位

難易度は普通。電荷によってできる電場、電荷の電位、またそれを用いた仕事などを求める問題。クーロンの法則と、電位が力学でいう所の高さにあたる事がわかっていれば、そう苦もなく解ける問題だと思う。

2008年度

全体

全体的な難易度は少し低め。というのは、大体1問は少し難しい問題が入っているものだが、この年度はそれが無いように思われるからである。むしろどれも普通とはしたものの少し易しめだと思っている。解けるか解けないか、ではなくいかに早く、欲を言えば全てミス無く取るか、といった所で勝負は決まってくると思う。

第1問 力学 2物体の運動 水平投射 摩擦

難易度は普通。水平投射にばねや摩擦などを組み合わせた問題。小問一つ一つはそれほど難しくはなく、誘導に乗って計算ミスなくやっていけば、あとはいかに早く終えるかの勝負になってくると思われる。

第2問 波動 異なる媒質中の音波 ドップラー効果 光波

難易度は普通。異なる媒質中を音波、光波が通る場合について、前者はドップラー効果、後者は全反射も絡めた問題。一見難しそうな見た目の反面、取り組んでみると意外と単純で、おそらく早い人だと10分程で解いてしまうだろう。

第3問 電磁気 コンデンサーを含む回路

難易度は普通。いくつかの抵抗、コンデンサー、スイッチを含む回路で、スイッチが閉じたり開いたりした結果について考察する問題。電磁気の範囲の問題集をやっていれば必ず1度は目にした事のあるはずの問題である。ここはきちんと対策をしているかしていないかで、解く早さはかなり違ってくると思われる。

 

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