医学部受験を決めたら 私立・国公立大学医学部に入ろう!ドットコム

私立・国公立大学医学部に入ろう!ドットコム は、医学部受験情報のポータルサイトです。
会社概要 | このサイトについて | 出稿ご希望の方はこちら

小論文対策講座 第4回

「いきなり」書き出さない。(前篇)

これまでの3回にわたり、小論文の根本にある原理・原則をお話ししてきました。ただ、今までお話してきたことはあくまで抽象的な理念の域を出ません。従いまして、今までにしてきたお話を踏まえて、今回から「具体的な書き方篇」に入ります。
その初回にあたる今日は、あらゆる問題形式、答案作成のあらゆる場面において大前提となる事柄についてお話しようと思います。

小論文を実際にお書きになる際に一番気を付けていただきたいこと・・・正確には、小論文をお書きになる際に絶対にしてはならないこと。それは、「終わりを決めずに書き出す」ということです。
「今書いたことが、次に書くことを決めていく」、「規定字数に到達したら、そこで自動的にまとめに入る」・・・そんな場当たり的な書き方をよく目にします。とりあえず頭の中に思い浮かんだ、問われていることに応答していそうな「何か」を書く。そんな書き方をしていませんか?
厳しい言い方になりますが、このような書き出し方には、「何も書いていない状態よりは何か書いてある状態の方がいい」・・・いう程度の発想しかありません。結果としては、そうして書いた最初の「何か」が、本人の思考とは無関係に次の「何か」の範囲を限定します。その「何か」は更にその次の「何か」を限定し・・・という繰り返しが続きます。そうすると、答案が進むにつれて予期せぬ「自縄自縛」状態にどんどん陥っていきます。(それもそのはず・・・そもそも「予期」がないのだから。)酷い場合には、最初の「何か」とまとめの「何か」が真っ向から反対になっているという答案も、よく見られます。
なぜこのような事態に陥るか。答えは簡単で、スタートの切り方がマズかったんですね。「とりあえず何かを書く」・・・そういう発想は、終わりに合わせて文章全体の構造をまとめていません。だから、途中から議論の方向性が制御できなくなって、まとめようとして字数が全く足りなくなるか、字数を合わせようとしてまとめにならないかのどちらかに陥ります。これは、小論として良いか悪いか以前の問題です。

これを逆の側から言えば、「はじめから終わりまでの過程を決めてから書き出すべし」ということになります。
小論文を書くにあたってなによりも留意すべきことは、「骨組み」を先に作ること。「全部下書きをしろ」とまでは言いません。自分がこれから書くことを簡単に箇条書きにし、全体像を決めることで、実際に答案を書き始めるのに先立って、全体の見通しが見えているという状態が作れます。ついでに言うと、こうした作業は頭の中だけでやらないこと。ちゃんと紙に書きだして「考え」を客体化することが大事です。問題冊子の端なり裏なりに答案の見取り図を箇条書きしておくことは、良い答案の必須条件だといって過言ではありません。
もう一つ指摘しておきたいのは、「項目ごとに字数を先に決めていく」ということです。「書いたらこのパーツは○○字になった」ではなく、「このパーツは○○字で書く」という発想ですね。そうすれば、「最初から最後までの論の展開はもう箇条書きになっており、なおかつ字数まで決まっている」という理想の状態が作れます。それだけではなく、「600字1つ」とか「800字1つ」といった大きな課題を一気に相手にするのではなく(そんなふうに大きなものを大きなままで見ているから、最初の一歩が踏み出せないのです)、「150字4つ」とか「100字と150字と100字の3つ」とかいったように、ひとつひとつの小さな塊に課題を細分化できます。大きな敵を小さくするということは、どんな情報処理においても重要な作業です。

というわけで、結論。

書き始める前に、答案の最初から終わりまでの部品を箇条書きにしておくこと。

では次回は、具体的な問題を土台にして、今申し上げたことを実際にお見せしてみたいと思います。

安達 雄大

安達 雄大

昭和53年生まれ。名古屋大学文学研究科博士課程出身。学生時代より大手予備校で指導を開始。現在は現代国語講師として全国で活躍する傍ら、医学系予備校で小論文指導も手掛ける。日々たゆまぬ研究に裏付けられた切れ味の鋭い現代国語の講義と丁寧な小論文指導により、受験生から絶大な信頼を集める。

 

全国私立大学医学部 各大学別入学試験情報