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医学部受験の数学学習法 第5回 数学を得点源にしよう!答案作成も完璧に!

これを読む皆さんに、今すぐに挑戦して欲しいこと

 この連載も、いよいよ最終回となりました。そんなわけで、今回は、皆さんが入試標準レベルの学習を効率よく進め、数学に関しては相応の力をつけたと仮定しての話です。人によってはまだまだ先のことになるかも知れませんが、どうかお付き合いください。

「さて、過去問演習もやった方がいいと思うけど、それにはまだ早いし、何をしようかな?」…誰しも一度は言ってみたい言葉かも知れませんが、このように言う人(言えるようになった人)は、何はさておき早い時期に一度、過去問に挑戦してみて下さい!決して「早い」なんてことはありません。今の段階で、どれぐらいの割合で問題が解けるかを知り、自分の望むレベルと現状との差を、知っておくべきだと、私は思います。

 そういう話の流れの中で、よく「第1志望の大学の過去問は、直前にやりたいのでとっておきたい」という声を聞くのですが、個人的には、あまり気にすることはないと思います。それも一理ありますが、あまり間際になってから取り組むと、どうしても問題が解けたかどうかだけに目がいってしまい、本番での時間配分や、難易度の高い問題を「見切る」基準を知るという目的からは外れてしまいます。

「本番に近い状況で、同レベルの問題から得点できるという体験」がどうしてもしたいのであれば、他大学の入試問題で、志望大学・学部と同レベルか少し易しめの問題が出ているものを探して取り組む(赤本を古本などで安く入手するのがオススメ)などの方法もあります。また、主要大学であれば、特定大学模試の過去問集なども各社から発売されています。広い目で、活用できるものを探して下さい。

数学を得点源にする=難問対策、ではない?

 他に、「過去問演習以外に、何をしようかな?」と考えている人が陥りやすいこととして、マニアックな問題集に手を出し、難問に必要以上に時間をかけて取り組んでしまう、その結果、自分の好きな分野に関しては別解も含めて様々な解法を身につけるが、嫌いな分野は後回し、といったように知識のバランスが偏ってしまうということがあります。

 別に、難問対策や別解探し自体が、悪いと言いたいわけではありません。それらを通じて感じ取ったものがあれば、それは長期的に考えれば皆さんの「糧」になるからです。が、受験という基準で考えてみればどうでしょう?数年に1問出るかどうかの難問をエレガントに解く方法(それこそ予備校の先生が何人も集まって考えたような)に触れても、応用可能な知識として身につかなければ意味がありません。よほどの頭脳の持ち主か、さもなくば中高一貫校に通う中2~中3ぐらいの生徒さん(受験まで長い時間がある)でもない限り、「ただ感動するだけ」で終わってしまうと思います。別解にしてもそうです。別解に触れるのは、本番で慌てず済むように、頭の中に様々な解法の「引き出し」を作るためであって、解法の美しさを競っても意味がありません。入試本番で、最良の解法を追求したいからと一度書いた答案を消してしまい、そこで終了のチャイムが鳴ってしまったら、得点は0点です。少々「泥くさい」解法しか思いつかなかったとしても、とにかく手を動かして計算結果を出し、答案(らしきもの)を書くしかなくなる場面もきっとあります。いろいろな状況に対応できるよう、意識しましょう。

 他教科と比べて努力が成果に結びつきにくく、安定した得点がなかなか出ない「数学」という教科を得点源にするというのは、本来、人並み外れた知識やセンスのようなものがあって初めて出来ることだと、私は考えます。並の能力で、そういったライバル達と渡り合う場合、標準問題を確実に解けるレベルまでは知識や演習量が必須ですが、残り(私の感覚では約3割)は、答案作成法を意識することに、メンタルの維持などを加えた「危機管理能力」で補って欲しいと思います。

得点が望める答案作成法、そのために意識すべきこと

 入試問題の答案は、大学・学部に対する『ラブレター』を書くつもりで書きなさい。私が予備校講師時代に、先輩講師の誰かが、そう言っていたのを聞いたことがあります。このまま言うと、受験生に恋愛は禁物なのにとかツッコミを入れられそうですが(笑)、大学に入れてもらおうとする者の当たり前の礼儀として、採点者にとって読みやすく書くことは当然でしょう。そのために、具体的に何をすればよいか。皆さんにはもはや常識かも知れませんが、ポイントを幾つかあげておきましょう。

 まずは、良いお手本に触れること。いわゆる赤本だけでなく、詳しく解説された参考書などもいろいろ探し、「肌に合う」(自分にとって読みやすく、真似できそうな)書き方に触れましょう。

 次に、自分の答案が評価される機会を持ち、活用すること。私自身は、受験生のときに通信添削を受講していましたが、学校・予備校の先生に、答案を添削してもらえる機会があれば是非そうすべきですし、模試などの結果を見るときも、点数や偏差値だけを見るのではなく、どこで減点されているかもしっかり見ることも、心がけて欲しいです。

 また、日ごろから出来ることとして、答案の文章が日本語としてつながっているか、意識することも大事だと思います。例えば、主語と述語のつながりをきちんと考えて、答案を書いていますか?「関数y=・・・が、点(・・・)を通る」とは言いませんよね。通じるようにしようと思えば、例えば「関数y=・・・のグラフが、点(・・・)を通る」と言ったり、「曲線C:y=・・・が、点(・・・)を通る」のように新たに記号を設けたりします。新たな記号を設けることは、そこだけ考えると手間ですが、それによって、以降の答案がコンパクトに書けるなら、設ける価値があります。参考書・問題集の模範解答や解説を読むとき(特に、すでに「1周」した本の2周目3周目をやるときなど)に、そういった視点で読み直してみると、意外と新たな発見があったりするものです。

 そして最後に、今言ったことは、難しい問題に取り組むときだけ、そうしても、大抵は身につきません。先ほど述べたことと関連しますが、日ごろの学習から高い意識で取り組み、自分の中で「当たり前」のことにしてしまうことが、最も重要です。そうして初めて、緊張する入試本番でも、実践できるようになります。

おわりに

 最後までおつきあいいただき、ありがとうございます。こういった所で書かせていただく機会を与えられ、大変光栄でした。数学の知識以前の「自己分析」「広い視野」「危機管理」といった話がよく出てきましたが、「広い視野」は、これをやったらどうなるか、つまり「想像力」とも言えます。

 昨今、「これからの大学入試では小論文や面接が重視されるようになる」なんて話もよくニュースなどで聞きますが、問われたことに対して何を書く(話す)か考え、それを読んだ(聞いた)人がどう感じるか考える。まさに「想像力」「危機管理」ですが、私自身は、数学の記述問題でも、受験生のそういった能力が(ある意味では小論文や面接よりシビアに)試されると信じています。

 皆さんは、医学部に入学するために、人並みならぬ努力をされているわけですが、その中で「自分をシビアに評価される」という経験を、常にしてきたと思います。しんどいことかも知れませんが、それはゆくゆく、必ずどこかで皆さんの財産になるはずです。医学部受験という高い目標に出会えたこと、あなたが学習できる環境を周りの皆さんが与えてくださっていることなどに感謝しつつ、今しばらくの間、頑張っていきましょう。そして、必ず良い結果を出して下さい。

まとめ:私が述べたこと

  1. スタートレベルを知る/年間計画を立てる
  2. 入試基礎レベルを網羅する/ライバルの存在を意識する
  3. 知識を整理して、基礎から実践(実戦)へ/苦手分野の速習法
  4. 入試標準レベルに挑戦する/インプットとアウトプット
  5. 数学を得点源にする/得点が望める答案作成法
水野 健太郎

水野 健太郎

'73年9月14日生まれ。 大阪星光学院中学校・高等学校 出身 大阪大学基礎工学研究科 修士了 予備校講師等を経て現職。'98年から「数学参考書レビュー」サイトを運営。 現在は、講師の傍ら入試問題過去問集の解答執筆、各種模試等の作問も手がける。

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