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医学部受験の数学学習法 第4回 入試標準レベルの学習では、
インプットとアウトプットを意識しよう!

入試本番よりも少し易しめの問題を多く解きましょう

 さて、ひととおりの知識が身につき、教科書レベル+α程度であれば、ほとんどの問題が解けるようになったとしましょう。受験生の皆さんは、ここからいわゆる入試の標準と呼ばれるレベルの学習へと、入っていくことになります。が、ここに、医学部受験独特の難しさがあります。

 もし、入試本番における目標点が低ければ、苦手分野の問題が出ても1~2大問程度なら捨てても何とかなりますから、気が楽ですし、必然的に1問にかけられる時間も多くなります。が、医学部の入試では基本は完答ですし、もし苦手分野から出題されても、部分点が取れないと話になりません。しかもそれを、受験校によっては非常に短い時間でやらなくてはなりません。多少大袈裟な言い方になりますが、それこそ「脳の仕組み」自体を試験に合わせるぐらいの勢いで取り組む必要があります。

 そのために、私が考えるベストの方法は、「入試本番より少し易しめの問題を、全分野幅広く当たって『解ききる』練習をする」ことです。本来ならば、入試本番と同レベルの問題に取り組むべきなのですが、1問に取り組むのに時間がかかりすぎてしまうと、入試での出題パターンに多く触れることが難しくなり、何より焦ってしまうと思います。

 上記の目的に合った参考書・問題集として、定番と言われているものに

  • 「大学への数学 1対1対応の演習」(東京出版)

があります。教科書~入試基礎レベルの学習時には触れにくい解法・出題パターンがひととおり身につき、入試独特の「ひねった」出題のされ方も経験できます。1ページに、同じ出題テーマの例題と「演習題」の2題が掲載されているのが特徴ですが、分量に圧倒され、特に後者への取り組み方がいい加減になってしまうと、本末転倒になります。そこで、数学Ⅰ・A・Ⅱ・Bの問題演習は

  • 「解決!センター」数学Ⅰ・A/Ⅱ・B(Z会出版)

などの高得点を目指す人向けのセンター対策本で代用し、数学Ⅲだけ

  • 「国公立標準問題集 CanPass」数学Ⅲ(駿台文庫)

のような問題集を使うという選択肢もあげさせて下さい。「CanPass」の収録問題には、細かな誘導のついた問題が多い印象があります。本のタイトルは「国公立」となっていますが、このような出題の仕方は、私大に多い空所補充・マーク式の問題にも通じる気がします。ひとまず、誘導に乗れば入試標準レベルの問題が解けるようにもっていき、徐々にノーヒントでも解答の方針が立てられるようになることを、次の目標としましょう。

インプットとアウトプット

 私自身経験したことでもありますが、学校や予備校の授業は真面目に受けているのに、模試になると解答の方針が立てられなかったり、点数が伸びなかったりする。そんな「伸び悩み」のゾーンが、誰にでもあるのではないかと思います。そういった心当たりのある皆さんには、知識のインプット(入力)とアウトプット(出力)、すなわち、新しい知識を得ることと、得た知識を使えるようにすることを、バランスよく実践できているか、少し今までの学習を振り返って、反省して欲しいと思います。

 参考書・問題集で解き方の分からない問題に出会ったとき、まずは模範解答をノートに書き写すと思うのですが、そればかりになってしまったり、それ以前に「解答を読むこと」に時間をとられすぎたりしていないでしょうか。そういう人は、学習が「インプット」に偏りすぎていることになります。そういう人は、時間をおいて、同じ問題に解答を見ずに取り組んでみましょう。その際、解答時間を計ったりすると、より本番を意識した学習になります。加えて、模試や通信添削などを活用できるのであれば、なるべくそういったものにもチャレンジしてみて下さい。

 しかし、それ以上に難しいのは、手持ちの参考書・問題集の問題を何度も繰り返し解いてはいるが、模試や過去問などの難しい問題になると解答の方針が立たないという場合、すなわち、学習が「アウトプット」に偏り、1段高いレベルの「インプット」に移れないという場合です。そんなときは、教科書にはないが医学部の受験生なら常識といえる内容に触れられる

  • 「教科書Next ベクトル(/数列/図形と方程式/三角比と図形)の集中講義」(東京出版)

のような上級者向けの導入書を読んでみることをおすすめします。さらに、問題に取り組む際の普遍的な「姿勢・考え方」を解説しようとする参考書も、

  • 「露木式7つの大解法」数学ⅠA・ⅡB(学研)

など、数は少ないですが探せばあります。今あげたような本は、内容・レベルがなかなかピタッと合わないのですが、参考書・問題集には「出会い」の要素もありますから、選択肢に入れてください。

医学部受験において、問題の演習量を増やすことはもちろん大事ですが、「ただ単にダラダラと取り組む状態に陥らない」ような仕組みを自分で作り、実践していくことが、効率よく上のレベルに到達する近道になるのではないかと、私は思います。

まとめ:私が述べたこと

  1. スタートレベルを知る/年間計画を立てる
  2. 入試基礎レベルを網羅する/ライバルの存在を意識する
  3. 知識を整理して、基礎から実践(実戦)へ/苦手分野の速習法
  4. 入試標準レベルに挑戦する/インプットとアウトプット
  5. 数学を得点源にする/得点が望める答案作成法
水野 健太郎

水野 健太郎

'73年9月14日生まれ。 大阪星光学院中学校・高等学校 出身 大阪大学基礎工学研究科 修士了 予備校講師等を経て現職。'98年から「数学参考書レビュー」サイトを運営。 現在は、講師の傍ら入試問題過去問集の解答執筆、各種模試等の作問も手がける。

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