2014年度入学試験を振り返って
①志願者数・受験者数が急増、一般入学試験の志願者が9万人を突破。
一般入試 | 志願者数 2013年度 | 志願者数 2014年度 | 志願者数変化 2013⇒2014 |
---|---|---|---|
自治医科大学 | 2928 | 2348 | ▲580 |
岩手医科大学 | 2197 | 2958 | 761 |
埼玉医科大学 前期 | 2079 | 2121 | 42 |
埼玉医科大学 後期 | 2109 | 2419 | 310 |
獨協医科大学 | 3320 | 3648 | 328 |
杏林大学医学部 | 2125 | 2770 | 645 |
東京医科大学 | 2403 | 2700 | 297 |
東京慈恵会医科大学 | 2781 | 2574 | ▲207 |
順天堂大学医学部 | 2045 | 2171 | 126 |
聖マリアンナ医科大学 | 3143 | 3503 | 360 |
昭和大学医学部 I期 | 3414 | 3866 | 452 |
昭和大学医学部 II期 | 2145 | 1846 | ▲299 |
北里大学医学部 | 2062 | 2286 | 244 |
東海大学医学部 | 4596 | 5180 | 584 |
日本医科大学 | 1937 | 2232 | 295 |
日本大学医学部 | 4132 | 4071 | ▲61 |
慶應大学医学部 | 1734 | 1784 | 50 |
帝京大学医学部 | 5367 | 8334 | 2967 |
東邦大学医学部 | 2674 | 3207 | 533 |
東京女子医科大学 | 1642 | 1724 | 82 |
愛知医科大学 | 1726 | 2104 | 378 |
藤田保健衛生大学 前期 | 1569 | 1810 | 241 |
藤田保健衛生大学 後期 | 1905 | 1963 | 58 |
金沢医科大学 | 2527 | 2939 | 412 |
近畿大学 前期 | 1402 | 1625 | 223 |
近畿大学 後期 | 1010 | 1231 | 221 |
兵庫医科大学 | 1785 | 2023 | 238 |
大阪医科大学 前期 | 1875 | 2051 | 176 |
大阪医科大学 後期 | 971 | 941 | ▲30 |
関西医科大学 前期 | 1757 | 2174 | 417 |
関西医科大学 後期 | 1014 | 1014 | |
川崎医科大学医学部 | 1356 | 1612 | 256 |
福岡大学医学部 | 2832 | 3654 | 822 |
久留米大学医学部 | 1785 | 2107 | 322 |
産業医科大学 | 2242 | 2357 | 115 |
私立大学医学部合計 | 79575 | 91347 | 11792 |
防衛医科大学 | 7595 | 8012 | 417 |
一般入試 | 志願者数 2013年度 | 志願者数 2014年度 | 志願者数変化 2013⇒2014 |
一般入試 | 受験者数 2013年度 | 受験者数 2014年度 | 受験者数変化 2013⇒2014 |
---|---|---|---|
自治医科大学 | 2878 | 2301 | ▲577 |
岩手医科大学 | 2119 | 2869 | 750 |
埼玉医科大学 前期 | 1920 | 1975 | 55 |
埼玉医科大学 後期 | 1813 | 1994 | 181 |
獨協医科大学 | 3077 | 3519 | 442 |
杏林大学医学部 | 2026 | 2623 | 597 |
東京医科大学 | 2149 | 2438 | 289 |
東京慈恵会医科大学 | 2557 | 2368 | ▲189 |
順天堂大学医学部 | 1960 | 2103 | 143 |
聖マリアンナ医科大学 | 2945 | 3259 | 314 |
昭和大学医学部 I期 | 3289 | 3551 | 262 |
昭和大学医学部 II期 | 1997 | 1674 | ▲323 |
北里大学医学部 | 1971 | 2194 | 223 |
東海大学医学部 | 3898 | 4609 | 711 |
日本医科大学 | 1799 | 1943 | 144 |
日本大学医学部 | 3720 | 3380 | ▲340 |
慶應大学医学部 | 1434 | 1487 | 53 |
帝京大学医学部 | 4748 | 7527 | 2779 |
東邦大学医学部 | 2581 | 2845 | 264 |
東京女子医科大学 | 1557 | 1659 | 102 |
愛知医科大学 | 1663 | 2013 | 350 |
藤田保健衛生大学 前期 | 1490 | 1720 | 230 |
藤田保健衛生大学 後期 | 1739 | 1749 | 10 |
金沢医科大学 | 2418 | 2821 | 403 |
近畿大学 前期 | 1331 | 1538 | 207 |
近畿大学 後期 | 886 | 1072 | 186 |
兵庫医科大学 | 1732 | 1935 | 203 |
大阪医科大学 前期 | 1686 | 1827 | 141 |
大阪医科大学 後期 | 821 | 771 | ▲50 |
関西医科大学 前期 | 1647 | 2055 | 408 |
関西医科大学 後期 | 857 | 857 | |
川崎医科大学医学部 | 1315 | 1548 | 233 |
福岡大学医学部 | 2637 | 3472 | 835 |
久留米大学医学部 | 1609 | 1913 | 304 |
産業医科大学 | 1934 | 1984 | 50 |
私立大学医学部合計 | 73346 | 83593 | 10247 |
防衛医科大学 | 6940 | 7198 | 258 |
一般入試 | 受験者数 2013年度 | 受験者数 2014年度 | 受験者数変化 2013⇒2014 |
2014年度私立大学医学部入試の志願者数は初の9万人を越えました。これは2013年度の総受験者数とほぼ同数で、私立大学医学部の受験者数が増加したことを示しています。一般入学試験内での比較でも2013年度から2014年度にかけて志願者数・受験者数ともに1万人以上増加と近年の医学部人気がそのまま数字として表れています。
一方で、募集人数は東海大学医学部で編入試験の枠の一部が一般入試となり12名、埼玉大学の後期試験5名、福岡大学5名が増えましたが、大阪医科大学で5名減ったため、トータルでは17名増えたに過ぎません、2014年度から始まった関西医科大学の後期試験は、2013年度に前期87名だったものを前期80名、後期7名に振り分けたにすぎず、全体の募集人数には変化がありませんでした。
以前、全体的に増加するだろうという予想をしましたが、率直な感想は、「これほど増えるとは思わなかった」という感じです。特に、学費が約1100万円減額となった帝京大学医学部の受験者数は、以前の順天堂大学医学部の例からも大幅に増加するだろうと予想していましたが、志願者数・志願者数とも約1.5倍(志願者数:5367人⇒8334人 2967増加(1.55倍) 4748人⇒7527人 2779人増加(1.58倍))と、私が予想していた(1000人程度の増加)よりもずっと大きな幅での増加となり、正直なところ驚いています。
今後、過去の順天堂大学がそうであったように、帝京大学は偏差値が上昇すると思いますが、1100万円減額されてもいまだ3000万円台ですので、さらにもう一段の減額がない限り、上位私立大学となるとは考えられません。一方、2016年度入試からは英語が必須科目となりました、3教科型受験であることは変わりませんが、2016年度入試では英語が不得意でも帝京大学なら合格できる。という生徒指導は通用しなくなります。
②倍率変化は大学によってまちまち、倍率が低下した大学は併願校数の増加、ボーダーラインの固定が一因か。
一般入試 | 一次倍率 2013年度 | 一次倍率 2014年度 | 一次倍率の変化 2014-2013 |
---|---|---|---|
自治医科大学 | 6.5 | 5.2 | ▲1.3 |
岩手医科大学 | 3.2 | 4.3 | 1.1 |
埼玉医科大学 前期 | 5.1 | 5.3 | 0.1 |
埼玉医科大学 後期 | 4.9 | 6.3 | 1.4 |
獨協医科大学 | 10.1 | 11.7 | 1.6 |
杏林大学医学部 | 4.9 | 5.7 | 0.7 |
東京医科大学 | 5.1 | 5.9 | 0.8 |
東京慈恵会医科大学 | 5.7 | 4.8 | ▲0.8 |
順天堂大学医学部 | 3.5 | 3.7 | 0.3 |
聖マリアンナ医科大学 | 6.3 | 5.9 | ▲0.4 |
昭和大学医学部 I期 | 6 | 5.8 | ▲0.2 |
昭和大学医学部 II期 | 21 | 16.1 | ▲4.9 |
北里大学医学部 | 5.7 | 6.1 | 0.4 |
東海大学医学部 | 10.6 | 10.5 | ▲0.2 |
日本医科大学 | 4.6 | 4.7 | 0.1 |
日本大学医学部 | 9.3 | 8.5 | ▲0.9 |
慶應大学医学部 | 5.3 | 5.5 | 0.2 |
帝京大学医学部 | |||
東邦大学医学部 | 5.4 | 5.5 | 0.1 |
東京女子医科大学 | |||
愛知医科大学 | 4.1 | 4.6 | 0.5 |
藤田保健衛生大学 前期 | 4.8 | 6 | 1.2 |
藤田保健衛生大学 後期 | 4.2 | 14.5 | 10.3 |
金沢医科大学 | 4.3 | 5.1 | 0.7 |
近畿大学 前期 | |||
近畿大学 後期 | |||
兵庫医科大学 | 4.1 | 5 | 0.9 |
大阪医科大学 前期 | 8.3 | 9.1 | 0.9 |
大阪医科大学 後期 | 18.2 | 16.8 | ▲1.5 |
関西医科大学 前期 | 4.5 | 5.6 | 1.1 |
川崎医科大学医学部 | 3.5 | 3.4 | ▲0.1 |
福岡大学医学部 | 5.9 | 8.9 | 2.9 |
久留米大学医学部 | 3.7 | 4.4 | 0.8 |
産業医科大学 | 4.5 | 4.5 | 0 |
防衛医科大学 | |||
一般入試 | 一次倍率 2013年度 | 一次倍率 2014年度 | 一次倍率の変化 2014-2013 |
一般入試 | 総倍率 2013年度 | 総倍率 2014年度 | 総倍率の変化 2014-2013 |
---|---|---|---|
自治医科大学 | 23.4 | 18.7 | ▲4.7 |
岩手医科大学 | 14 | 16.7 | 2.6 |
埼玉医科大学 前期 | 32 | 31.3 | ▲0.7 |
埼玉医科大学 後期 | 39.4 | 38.3 | ▲1.1 |
獨協医科大学 | 16.7 | 18.4 | 1.7 |
杏林大学医学部 | 16.3 | 21.5 | 5.2 |
東京医科大学 | 14.9 | 14.4 | ▲0.5 |
東京慈恵会医科大学 | 7.1 | 7.7 | 0.6 |
順天堂大学医学部 | 15.7 | 16.7 | 1 |
聖マリアンナ医科大学 | 29.7 | 32.6 | 2.8 |
昭和大学医学部 I期 | 11.7 | 12.3 | 0.6 |
昭和大学医学部 II期 | 55.5 | 67 | 11.5 |
北里大学医学部 | 9.2 | 9.9 | 0.7 |
東海大学医学部 | 32.5 | 33.2 | 0.7 |
日本医科大学 | 5.1 | 5.5 | 0.4 |
日本大学医学部 | 17.9 | 16.8 | ▲1.1 |
慶應大学医学部 | 8.4 | 10.3 | 1.9 |
帝京大学医学部 | 23.4 | 33.9 | 10.5 |
東邦大学医学部 | 23.5 | 21.6 | ▲1.9 |
東京女子医科大学 | 14.3 | 10.1 | ▲4.2 |
愛知医科大学 | 9.1 | 8.7 | ▲0.4 |
藤田保健衛生大学 前期 | 7.9 | 9.2 | 1.4 |
藤田保健衛生大学 後期 | 64.4 | 50 | ▲14.4 |
金沢医科大学 | 22.4 | 26.1 | 3.7 |
近畿大学 前期 | 9.1 | 10.1 | 1 |
近畿大学 後期 | 35.4 | 97.5 | 62 |
兵庫医科大学 | 11.3 | 12 | 0.7 |
大阪医科大学 前期 | 11.2 | 13.7 | 2.5 |
大阪医科大学 後期 | 54.7 | 48.2 | ▲6.5 |
関西医科大学 前期 | 12.1 | 13.6 | 1.5 |
川崎医科大学医学部 | 16.4 | 23.1 | 6.7 |
福岡大学医学部 | 14.7 | 13.4 | ▲1.3 |
久留米大学医学部 | 9.1 | 11 | 1.9 |
産業医科大学 | 22.8 | 19.3 | ▲3.5 |
防衛医科大学 | 23.9 | 26.9 | 2.9 |
一般入試 | 総倍率 2013年度 | 総倍率 2014年度 | 総倍率の変化 2014-2013 |
※総倍率=(受験者数 / 二次合格者数)
受験者数の減少があったのは29校中5校(自治医科大学・東京慈恵会医科大学・昭和大学Ⅱ期・日本医科大学・大阪医科大学後期)のみでしたが、総倍率でみると12校が減少しています。これは、受験者数の増加に合わせて合格者数を増やしたことを示しています。
では、どうして合格者数が増えたのか、を考察してみようと思います。
1)繰り上げ合格者数が増加した。
各大学とも、原則として正規合格者数は募集人数と同じ(同点の者がいた場合は)ですから、募集人数以上の合格者数は繰り上げ合格者で、これは正規合格者のうち、入学を辞退した人数を補てんするために追加で出す合格者数です。このため、正規合格者のうち辞退した人が多かった大学ではそれだけ合格者数が増加することになり、結果として倍率が低下する可能性が高いのです。
例えば、福岡大学医学部では、受験者数が前年度と比較して835人増えたものの、総倍率は1.3ポイントの減少となりました。これは、合格者数が2013年度179名(うち追加51名)に対し、2014年度は259名(うち追加65名)と大幅に増加したためです。しかし、正規合格者数も2013年の128名(179-51名)から2014年度の194名(259-65名)へ増加しています。
2)ボーダーラインを固定?併願者の流出を予想か
正規合格者数の増加と倍率の低下は、受験者数の増加割合と合格者数の増加割合が同期して増加していることを示しています。つまり、ボーダーラインが固定されているか、あるいは上位何%を合格させる、と言うような形で採用している可能性があります。これは私の予想ですが、併願者の流出を予想した結果ではないかと思います。統計的にこれくらいのパーセンテージで採用すれば、補欠に回さなくてもよい、というデータがあるのでしょう。
しかし、結局補欠合格者が前年度より14名増加したという事は、194名の正規合格者数の大半が入学を辞退し、正規合格者の中で進学した人数が前年度より14名少なかったという事です。これは、受験者の併願校が増加している事の傍証となるのではないでしょうか。また、この傾向は、福岡大学以外にも東邦大学や愛知医科大学でも見ることができます。
③結論
①では大幅な受験者数の増加が観測されたことについて述べましたが、その一方で②の考察のように、それは必ずしも実数の増加ではないということを示しました。志願者数推移のデータや受験直前に発表される受験者数に余り気持ちを左右されてはいけない。と言う事が分かっていただけると思います。
しかし、そうはいっても、表面的なデータほどではないにせよ受験者数の実数も増加していることは間違いなく、実際に多くの大学では倍率が上昇していること、もともとの倍率が高いことから、受験としては難関であるという事に変わりはありません。また、全体的な学費の値下げによって国立大学医学部の志願者が流入することを考えると、今後も少しずつレベルが上がっていくでしょう。