第23回:酸化と還元⑤
ヨウ素滴定の例題
濃度未知の H2O2 水溶液 10mℓ に過剰量の KⅠ 水溶液を加えて反応させた後、デンプンを加えると呈色した。ここに 0.10mol/ℓ の Na2S2O3 水溶液を加えると、 5mℓ 加えた時点で色が消えた。 H2O2 の濃度を求めなさい。
(解説・解答)
ヨウ素滴定は一種の逆滴定です。最初にⅠ-が酸化剤と反応してⅠ2になります。
- 半反応式
-
2Ⅰ- → Ⅰ2 + 2e- ・・・・ ① H2O2 + 2H+ + 2e- → 2H2O ・・・・ ②
H2O2 の濃度を χmol/ℓ とおくと、H2O2 の物質量は χ × mol です。
よって、生成した Ⅰ2 は χ × molですね。
ここにデンプンを加えると、ヨウ素デンプン反応によって色が青紫色に変化します。
次に、還元剤の S2O32- を加えます。Ⅰ2は酸化剤ですから、S2O32-とⅠ2が反応します。Ⅰ2が全て反応すると、青紫色が消えるんでしたね。
- 半反応式
-
Ⅰ2 + 2e- → 2Ⅰ- ・・・・ ③ 2S2O32- → S4O62- + 2e- ・・・・ ④
半反応式中の電子の数から、Ⅰ2 : S2O32- = 1 : 2 の比で反応する事が分かります。
0.10mol/ℓ の Na2S2O3 5mℓと反応したので、物質量の比の式は
χ × : 0.10 × = 1 : 2
これを解くと、χ = 2.5 × 10-2 mol/ℓ
逆滴定ですから、過マンガン酸滴定よりはやや面倒ではあるものの、酸化剤の濃度を求めることができましたね。
今回は、もう1つ新しいことをやっておきます。CODの測定です。
COD(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)とは、試料水1 ℓ 中に含まれる有機物等を酸化するのに必要な酸素の質量(mg)の事です。単位はmg/ ℓ ですね。
COD が大きいほど含まれている有機物が多いわけですが、一般に、汚染された水ほど多くの有機物を含んでいますから、COD の大きさは水の汚染度を表すのに用いられます。
平野 晃康
株式会社CMP代表取締役
私立大学医学部に入ろう.COM管理人
大学受験アナリスト・予備校講師
昭和53年生まれ、予備校講師歴13年、大学院生の頃から予備校講師として化学・数学を主体に教鞭を取る。名古屋セミナーグループ医進サクセス室長を経て、株式会社CMPを設立、医学部受験情報を配信するメディアサイト私立大学医学部に入ろう.COMを立ち上げる傍ら、朝日新聞社・大学通信・ルックデータ出版などのコラム寄稿・取材などを行う。