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医学部受験の数学学習法 第2回
ライバルの存在を意識しつつ、入試基礎レベルを網羅しよう!

医学部を目指す皆さんは、どんなライバルと戦うのか?

 他学部に比べ、医学部受験においては、数学の目標点が非常に高くなるというお話を以前にしましたが、なぜ高いのでしょうか。ざっくり言うと、医学部(医学科)という学部(学科)の定員は限られており、そこに通わないとお医者さんにはなれないから、入りたい人はものすごく頑張るからです。

 特に首都圏で、医学部を目指すような意識の高い生徒さんというと、多くは私立や国立の中高一貫校に通っているというイメージがあります。そんな学校に入りたい人は(通わせたい保護者さんは)、早いと小2か小3ぐらいから塾に通います(通わせます)。

 また、中高一貫校は入学したらもう終わりではなく、そういった学校の生徒さんを対象にした塾もあるので(そういう塾にも通うことを「ダブルスクール」と言ったりします)、小3から塾に通うとして4+6=10年間、皆さんのライバル達は、優秀なクラスメイトに囲まれながら、高度な内容をこれでもかと言うほど詰め込んでくるわけです。逆に、学校の方針で「予備校いらず」、つまりダブルスクールを奨励しない代わりに、毎日英語の単語・熟語を何個ずつとか、数学であれば参考書の例題を何題かずつとか勉強させ、小テストをこまめに実施して確認・定着を図るといった指導をウリにするところもあり、学校で出されるこういう課題を消化できれば、基本事項の抜け、初歩的なミスは大幅に減らせます。

 それでも、医学部となれば、思った学校に合格できるかは時の運。いかに過酷な世界か、お分かりいただけたでしょうか。

 しかし、ご安心ください。皆さんは、そんな人達を「上回る」点数を、入試で取らないといけないわけではありません。例えば、目指す学校の医学部の定員が50名だったとして、1位~30位ぐらいはそういった、何もかも突き抜けたレベルの生徒さんに占められてしまうでしょう。でも、50位までの成績をとれば、合格(入学)することは、できるわけです。

 さらに、一見高度な内容を学んできている(ように見える)人達に対しても、こと数学に関しては、つけ入るスキは十分にあると私は思っています。学校で、先生方がどんなにハイレベルな授業をされても、そこで得た知識を、本当に使えるものにしていくのは、生徒さん自身です。同様に、毎日課題を出してくれる学校にいても、そもそもそういう課題の出され方が合っている人とそうでない人がいますし、何より例題の解答を単に覚えるだけといった中途半端なやり方に陥ってしまうと、本来つながって積み上がっていくはずの知識が、バラバラのままで終わってしまいます。

 そこで、これを読んで下さっている皆さんは、入試の出題範囲である「教科書」を軽視せず(これについては前回述べました)、基礎となる問題・解法を自分にとって無理のないレベル・ペースで反復練習して、確実に自分のものにしていって欲しいと思います。特に自学自習では、標準問題を確実に解けるようになることに重点を置き、中途半端に難問に手を出さない方が安全です。

入試基礎レベルを網羅しよう

 前置きが長くなりましたが、教科書の基本事項を確認したあとの最初のヤマ、入試基礎レベルと呼ばれる、教科書の本文中の「問」や「練習」よりも少し難しいレベルの問題について、どんなタイプの問題が出ても解けるようになること。これを「入試基礎レベルの網羅」と言ったりしますが、この部分についての話をします。

 「網羅」と言えば、定番の「青チャート」(数研出版)※「チャート式 基礎からの数学」が知られていて、昨今は学校でまとめて買われることも多いと思います。この本の「例題」を8割以上解けることが1つの目安になると言われますが、このシリーズの例題は、単に数が多いだけではなく、中にはかなり高度な内容のものも含まれています。学校の課題などで出されたら、無理矢理にでもやるのでしょうが、自分で学習計画から考えつつ、自力でこの分量の参考書に取り組むには、相応の予備知識・モチベーションが必要になるでしょう。特に独学の人、今まで参考書というものをあまり使ってこなかった人には、おすすめできません。

 そういった場合は、思い切ってレベルを落とすことも、考えるべきです。例えば、基本事項の解説が手厚く(かつ読みやすく)、例題も教科書レベルの問題が中心になっている
 ○「白チャート」(数研出版)※「チャート式 基礎と演習」
などを使えば、よほど中学レベルに積み残しがない限り、すいすい進めていけると思います。すいすい進むと日々達成感が感じられますし、最初に立てた学習計画より早く終わりそうだから「貯金」を作ろう、というふうな「攻め」の姿勢にもなります。目先、網羅できるパターンは少し減ることになりますが、昨今、それに代わる本、つまり大学入試から比較的取り組みやすい問題を集めた問題集などは多く出ているので、どこかでそういう本を1~2冊増やせば、パターンの「抜け」は簡単に補えます。それよりも、なるべく早い時期に、高校数学全体を「概観」することに重きを置き、同時に学習のペース・サイクルを確立して、「ああ、大学受験の数学の勉強は、こういうふうに進めていくのか」と実感できるようになって欲しいと思います。

 もちろん、「青チャート」(数研出版)や「理解しやすい数学」(文英堂)、「フォーカスゴールド」(啓林館)といった参考書が悪いと言っているわけではありません。こういった、「重めの」参考書を使っても上記のことをちゃんと意識しながら淡々と進めていける人や、難しい例題や演習問題を見分けて後回しにして、しかるべき時期にそれらに再度取り組むといった「管理」が自分で出来る人は、そのやり方で行けるところまで行ってみて、そういった意味での「貯金」を作って欲しいと思います。

まとめ:私が述べたこと

  1. スタートレベルを知る/年間計画を立てる
  2. 入試基礎レベルを網羅する/ライバルの存在を意識する
  3. 知識を整理して、基礎から実践(実戦)へ/苦手分野の速習法
  4. 入試標準レベルに挑戦する/インプットとアウトプット
  5. 数学を得点源にする/得点が望める答案作成法
水野 健太郎

水野 健太郎

'73年9月14日生まれ。 大阪星光学院中学校・高等学校 出身 大阪大学基礎工学研究科 修士了 予備校講師等を経て現職。'98年から「数学参考書レビュー」サイトを運営。 現在は、講師の傍ら入試問題過去問集の解答執筆、各種模試等の作問も手がける。

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