1. 当院の紹介と提供する医療

古川賢一

飯山市が属する北信医療圏は、長野県の最北端にあり、2市1町3村から構成され、人口は88,900人です。北信医療圏には病院が3カ所、診療所が42か所、老人健康保険施設が3か所、特養老人ホームが7カ所、訪問看護ステーションが7カ所あり、当院は中野市のJA厚生連北信総合病院とともに、医療の中心的役割を担い、急性期の患者さんを受け入れています。

来院患者数は年間14万1千85人、入院患者数は7万1千592人あり、1次・2次救急病院として指定されていることから、多くの救急患者の受け入れがあり、年間約1万3千名の時間外診療と3千800名の入院患者があります。

飯山市は周辺に多くの観光地を持つことから、北信医療圏の住民だけではなく、温泉やスキー場への観光客も来院されます。スキーやスノーボードでの事故、交通事故などもあり、救急患者には、小児救急医療や心肺停止状態、多発外傷、脳血管障害、循環器疾患など、急性かつ重篤な症例も数多く見受けられます。

また、体が不自由な方や病気の方が自宅で、その人らしく、安心して過ごすことができるように、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、医療ソーシャルワーカーで作られる「訪問チーム」をつくり、訪問診療にあたっています。訪問チームのメンバーは全員が同じフロアにいるため、情報の共有が迅速かつ確実になされ、各職種間の連携が非常によく、各自が本来の仕事に専念することができており、高度な診療・看護・介護ができる体制を作っています。

訪問診療においては、我々の訪問チームだけではなく、院外のケアマネージャー、介護士、ヘルパーとも定期的(週1回)なカンファレンスを持って情報を共有し、協力体制を作っているほか、入院中から病棟での退院時指導、退院後計画作成に訪問チームが参加、協力するなど、一貫した介護・診療体制を作っています。

2. 奨学金受給生のキャリアについて

飯山市の奨学金では、卒後6年間の猶予があり、その間に初期臨床研修と新専門医研修を行って、専門医を取得することができます。研修病院の指定はありませんが、富山大学や信州大学の大学病院で研修を行えば、その後も大学の先生方と連携を取ることができ、よいキャリアを形成できると思います。特に、富山大学の内科の教育カリキュラムは素晴らしいものであり、良い内科医となることができると思います。

1. で紹介した通り、飯山赤十字病院は、救急患者を含む非常に多くの患者さんが来院されており、特に救急患者は質・量ともに豊富で、十分な症例を積むことができます。

また、飯山市は北陸新幹線の開通により、東京まで最短1時間41分、富山市まで46分の距離にあり、飯山赤十字病院から飯山駅までは徒歩5分と、大都市圏へのアクセスが非常によくなりました。そのため、飯山赤十字病院に勤務しながら富山や東京の大学院に通学することも可能で、実際、今も1名の医師が東京の大学院に通いながら勤務しています。

3. これからの若者へ

地域枠奨学金は、将来の足かせになるというように思われる方も多いようですが、そうではなく、自分の医師としての生き方の基盤ができたと考え、前向きな気持ちで来ていただきたいと思います。

飯山という土地は素晴らしい魅力のある土地です。そしてそこに住む住民の気持ちは温かくすばらしいです。この土地、この人々を愛し、この土地と人々を私たちと一緒に守ってくださる若者をお待ちしています

古川賢一

飯山赤十字病院病院長
古川 賢一